二人ノ世界

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  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309023571
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

首から下の自由を失った男のもとに、盲目の女がヘルパーとして現れる。二人が奇妙な介護生活の果てに手に入れた愛とは? 映画原作!

【著者紹介】
1964年兵庫県生まれ。シナリオライター。日本シナリオ作家協会所属。「二人ノ世界」のシナリオで第10回日本シナリオ大賞佳作入選。映画、ドラマ、舞台などのシナリオ執筆多数。

内容説明

バイク事故による頚椎損傷のため、36歳という若さで首から下の自由を失った俊作のもとに、盲目の女・華恵がヘルパーとして現れる。心を閉ざし悪態をつく俊作に、苛立ちを募らせる華恵だったが、目の見えない彼女もまた、人には言えない大きな喪失感を抱えていた…。京都・西陣を舞台に描かれる、二人きりの奇妙な介護生活と、その先で見つけた真実の愛とは?本作は第10回日本シナリオ大賞佳作受賞作・シナリオ「二人ノ世界」をもとにした、書き下ろし小説です。

著者等紹介

松下隆一[マツシタリュウイチ]
1964年兵庫県生まれ。脚本家。日本シナリオ作家協会所属。「二人ノ世界」のシナリオで、第一〇回日本シナリオ大賞佳作入選(同作は、永瀬正敏主演で映画化)。その他、映画、ドラマ、舞台などで執筆多数。前述の同名映画を自ら手掛けた『二人ノ世界』が初の小説となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

108
本物の愛・・帯にあったが私には何が本物かわからない。頸椎損傷で36才の息子を抱えた老いた父の愛・・ずっと寄り添っていきていけることは幸せと云いつつ病で亡くなる父が哀しい。人間はいつか死ぬ眼が見えなくたって手足が動かなくたってと云う盲目の女・華恵が哀しい。悪態をつく寝たきりの男・俊作が哀しい。「迷惑かけんと、うちらにどうやって生きろと言うんやッ」と身内に叫ぶ二人の気持ちが哀しい。とにかく哀しい。だがちょっと羨ましくもある。確かに『二人の世界』がそこにあるから。引き込まれての一気読みだった。2016/03/30

やも

96
動けない男と視えない女の物語。時間が流れて薄れたり厚くなったりする愛情。どちらも同じ自分の心の中のことなのに、絶対に薄れさせたくないと思っていた愛があったのに、この人には苛つかせられてばかりと思っていたのに、抗えないのはなんでなんだろう。生きていく苦痛と生きている幸せを、誰よりも分かり合う。心も体も互いのものは互いのものでいい。2人で1つになれる。視えないことの奥にある美しい景色を、動けないことの先にある衝動を、二人ノ世界で抱きしめるんだ。刺さるような文章と、包み込むような文章と、両方良かった。2023/10/13

あも

95
【おかださん課題本】これは凄い本や。生きるって哀しいんやな。寂しいんやな。そして自分は今生きてるんやな。生きること、生きてゆくことを否応なく考えさせられた。全身麻痺の青年と、彼を介護する全盲の女性。主人公の女性はその背景を考慮してもちょっと嫌な奴かもな。だからこそ良い。テンプレめいた感動や慈しみではないギリギリの。エッジの先に立つ人間の。底の底で確かに生きている二人の。しんしんと降る哀しみを屋根の上に積もらす小さな家が脳裏に浮かぶ。決して楽しい本ではないけれど、読むべき本かと問われたらそっと頷き手渡そう。2018/03/20

miww

77
視覚障害者華恵が身体障害者の男性を介護する日々。苛立ち、むき出しの本音の心理描写と閉塞感が全体に漂う。母親からの虐待が原因で失明、離婚を言い放たれ息子さえも取り上げられた華恵。画家として道が開ける直前に事故で頚椎を損傷しその未来を絶たれた俊作の絶望。「迷惑かけんと、うちらにどうやって生きろと言うんやッ」華恵の叫びが哀しい。反発と共感を繰り返しながらお互いの存在が大きくなっていく中で、綺麗ごとだけでは進まない物語は現実味を帯び引き込まれた。それでも二人は生きる。「二人ノ世界」というタイトルが秀逸です。2016/05/16

おかだ

50
すごい。感動的とかやるせないとか簡単に言葉では言い表せない…心を鷲掴みにして離さないような、力のある作品。バイク事故で首から下が動かなくなった男性と、彼を成り行きで介護することとなった盲目の女性。辛いことばかりの現実の中、二人の世界が、辿たどしく近づいては離れ、拒絶しては想い、少しづつ交わる。悲鳴のような言葉の数々が、柔らかいニュアンスの京都弁で綴られていて人間味が増している。辛い、けど読後は温かい涙。心の震えが止まらない。おすすめです。2017/05/26

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