内容説明
耳を澄ませば、彼らの声が聞こえるはず。ヒロシマ、ナガサキ、トウキョウ、コウベ、トウホク…。生者と死者の新たな関係を描いた世界文学の誕生。
著者等紹介
いとうせいこう[イトウセイコウ]
1961年東京都生まれ。作家、クリエイター。早稲田大学法学部卒業後、出版社の編集を経て、音楽や舞台、テレビなどの分野でも活躍。1988年、小説『ノーライフキング』でデビュー。1999年、『ボタニカル・ライフ』で第15回講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
668
2014年本屋大賞第8位。 何とも不思議な読後感だった。 突然の別れは、愛しい人と語り合う時間すら与えてくれない。 生者と死者を繋ぐ想像ラジオ。 芥川冬助が想像ラジオで 語る日々はなぜか哀しく、 残された者へのメッセージ なのだろう…いつでも 想像ラジオで、あの日々を思い出して欲しい… 地団駄踏むような愛する者への想いが、 静かに伝わってくる、 そんな物語だった。2015/06/24
風眠
373
木の上からラジオ放送するDJアーク、なぜそんな状況になったのか明らかになっていくにつれ、心臓がギュッとなる。「亡くなった人はこの世にいない。すぐに忘れて自分の人生を生きるべきだ。まったくそうだ。いつまでもとらわれていたら生き残った人の時間も奪われてしまう。でも本当にそれだけが正しい道だろうか。亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に。」ともすれば炎上しそうな事実を書いた作家の心に胸打たれる。東日本大震災、沢山の人が亡くなった。私は生きている。2014/01/01
hiro
352
いとうさんをタレントとしては知っていたが、小説家だとは知らなかった。新聞の書評をみて図書館で予約した。読み終えて、中村航さんの『星に願いを、月に祈りを』や辻村深月さんの『ツナグ』を思い出す。「亡くなった人はこの世にいない。すぐに忘れて自分の人生を生きるべきだ。まったくそうだ。いつまでもとらわれていたならば生き残った人の時間も奪われてしまう。でも、本当にそれだけが正しい道だろうか。亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に想ー像ーラジオー。2013/05/06
修一郎
344
震災という難しいテーマに挑んだ意欲作。「魂魄この世にとどまりて」しまったDJアーク。逝ってしまった人と残された人と,どう折り合いをつけて行くか,といった内容。うまく表現できたか,については私は判断できなかった。震災からの生存者が大勢いるのに,批判も覚悟の上で敢えて世に問うた勇気については敬意を表したい。こういうテーマはヒューマニズムを抑えた表現が必須。でないと読者に伝わらない。作者本人は軽薄に書いているつもりなんだろうけど,軽く読めなかった。「あまちゃん」を見る感じでというわけにはとてもいかなかった。2014/03/08
ウッディ
320
DJアークが杉の樹の上からリスナーの心の中に届ける想像ラジオ、それは震災で命を失った者のつぶやきだった。3.11で愛する人を失った人達の耳にも届いているのか?以前、せいこうさんとみうらじゅんさんのラジオで、人が死を目の前にした時にとき頭を巡るという走馬灯をスライドショーのように映したら面白いという話をしていたが、DJアークのトークは、まさにその走馬灯のようだった。深刻になりがちな雰囲気を、懐かしい洋楽とともに軽く、おしゃれに感じさせる所がこの物語の良さだと思ったが、面白かったかと言われるとまずまずかな。2019/07/31