内容説明
最新書き下ろしを含む11編の作品集。
著者等紹介
津原泰水[ツハラヤスミ]
1964年広島市に生まれる。青山学院大学卒業。少女小説作家“津原やすみ”としての活動を経て、97年“津原泰水”名義で『妖都』を発表。幻想小説作家として本格的に活動を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
110
なんとコメントしてよいのか、何とも捉えどころの無い不思議な短編集でした。その中でも「五色の舟」「微笑面・改」「手」が特に印象的でした。ただ読んでいて不安にさせられるようなこの手の話は、読む人を選んでしまうだろうと思うと残念です。個人的には嫌いではないです。基本的にホラーなんでしょうけど、怖さが直接的ではなく、あとからぞわぞわする感覚です。理解しにくい作品もありましたが、Twitter文学賞受賞されてるようなので沢山の人に評価されているということですよね。2012/03/05
みっちゃん
99
不思議な本です。私の前に11の扉があって、その隙間から洩れる妖しくも美しい光を、こわごわと覗き込むような…部屋の中に入りたいのだけど、入ったら最後、二度と出られないような、もし出られても、それはもう元の自分ではないような、そんな怖さも感じました。特に「追ってくる少年」「微笑面・改」と続けて読んでいる時は、心臓の鼓動が自分に聞こえる程でした。この読後感は引きずりますね。こういう本は初めてです。2012/05/30
takaC
90
「でもきっと、私には何もくれない」ことはなかったな。2011/12/09
nyanco
82
独特の世界観をお持ちの津原さん。好きな作家さんではありますが、体調万全に整えて挑まねば、門をひらいてすらもらえないことも…本作は短篇集で敷居が低め。しかし「五色の舟」から一気に津原ワールドに惹きこまれ魅了されました。どれもが短編ですが、完成度が高く、どの作品も勿体無いほど素晴らしいレベルの作品でした。津原さんの作品を読んだことがないという方には、おすすめできる秀作短篇集です。四谷シモンさんの人形を使った装丁も素晴らしく素晴らしい完成度の作品集。2011/07/14
藤月はな(灯れ松明の火)
72
味わい深い不思議なシュールと幻想とSFの短編集。逃れられない惰性関係の落とし穴の「追ってくる少年」、剥き出しの脳で思考しているようなグロテスクな滑稽さとミステリー「微笑面・改」「馬鹿にしつつも抑えきれない危険な好奇心と傍にある死への誘いを描いた「手」、物悲しい恋物語「テルミン嬢」など妖しくも物悲しく、そして乾いた視点もある笑いに眩惑されました。2012/08/16