内容説明
あなたはかつて愛した人をバラバラにして捨てられますか?カオリンの生い立ち、事件、結審までの人生から、現代の殺人犯の「心の洞」に迫る渾身のノンフィクション。
目次
第1章 犯行―「あの夜、覚えているのは、彼の寝顔と真っ暗な代々木公園」
第2章 新潟から、東京へ―「最初の記憶は、父にぶたれていること。便座の上で『ごめんなさい』と叫んだけれど、父はやめようとしなかった」
第3章 結婚―「そのときもとりあえず、床とかに押し倒され、馬乗りで殴られて、首を絞められ、髪をつかんで引きずられ…」
第4章 執着―「どうしようもない人だが、ワタシが何とかしてあげたい」
第5章 決壊―「ほら、これでアタシが、彼を憎んでいたことがわかったでしょ」
第6章 裁判、その後―「アタシには、未来がある」
著者等紹介
橘由歩[タチバナユウホ]
ノンフィクションライター。家族という場所・関係性を定点に犯罪ノンフィクション、人物ルポ等を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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らむり
32
反省せず、バラバラにした夫を憎み続ける歌織。理由はどうあれ、殺人は許されることではないが、歌織を育てた父親や殺害された夫の理不尽さ・暴力には同情する。2014/01/11
pom
7
びっくりしたのは、DVの後知り合いを部屋に呼んで謝る被害者。わざわざ行ってあげて深夜までこの二人に付き合うのは修行のようだったであろう。そんな親切な知人が何人もいることに驚いた。カオリも被害者もなるべく関わりたくないタイプの性格だと思うし、仲良い相手でもそんな厄介事に巻き込まれたくないところ、飛んで火に入ってるよねぇ。ホテルオークラのロビーで、カオリと父母に土下座したエピソードも凄い。書き手については皆さん指摘の通り主観入りまくり。前書きから引きました。「ーほらあなたのすぐそばに」って言われても…2015/05/17
まいこ
5
タイトルといい、章見出し「塀の中のセレブ」といい、なんか不謹慎ながら笑ってしまう。カオリンの生いたちについて詳しく書かれていたけれど、白百合時代が空白になってしまっている気がする。風俗やってたからか?地方から浪人してくる学生はすごく浮いただろう。それまで田舎セレブとして鳴らしてきたカオリンが、成金ではない本物のお嬢さんの持つ、経済力だけではない文化資本やら人脈に圧倒され、自分をまがい物だと感じたり屈辱を感じた場面は多かっただろうなと想像できる。そもそもかおりんは地方大学の経済学部に進みたがっていたのに、 2015/07/04
しげ
4
視点や切り口が、なんとなくお昼のワイドショーっぽい感じでした。2018/05/02
JunTHR
4
幼少期のネグレクトと夫からのDV、そこで溜め込んだ憎悪が、最終的には夫を殺し、バラバラにし、路上に捨て去るというあり得ない結末に行き着いてしまった、なんとも嫌な事件。DVの「被害者の優位性」にとどまることで、苛烈な復讐を遂げたという分析はなるほどと。著者の指摘する、法廷で積み重ねられる「嘘」と、その後も全く反省が見えない三橋香織、いやーな後味。著者の目線には、押しの強さを感じつつも冷静さもある。しかし、三橋香織の内面の言葉が(想像で)挟まれ、そこはなんだか読みづらさも感じた。2013/06/25