内容説明
両親の離婚により転校することになった音和。野川の近くで、彼と父との二人暮らしがはじまる。新しい中学校で新聞部に入った音和は、伝書鳩を育てる仲間たちと出逢う。そこで変わり者の教師・河合の言葉に刺激された音和は、鳥の目で見た世界を意識するようになり…。ほんとうに大切な風景は、自分でつくりだすものなんだ。もし鳥の目で世界を見ることが、かなうなら…伝書鳩を育てる少年たちの感動の物語。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京都生まれ。1988年「少年アリス」で第二五回文藝賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
99
とても心が和みました。都心から郊外の学校に転校してきた少年・音和の2学期を丁寧に描いています。優しく接する先生や先輩との交流が、美しい自然と相まって爽やかさを彩っていました。自然に満ちた世界が美しい。先生が本を読むことの大切さを語るのも素敵です。悪が存在しない世界が物語全体を優しい雰囲気に作り上げていると思いました。2016/01/17
おいしゃん
80
著者初読み。登場人物に派手さはないが、一人ひとり魅力がある。その中でも、野川の成り立ちや、東京の地形について、真摯に教える先生に人気が集まりそうだが、ませた主人公に対し、多くを語らずとも安心感を与える父が素敵だった。手軽に読める良本。2015/03/18
ゆみねこ
61
両親の離婚で2学期から都下の野川の崖地にある中学校に転校してきた「井上音和」。自然豊かな野川の風景、教師河井の語る様々なこと、新聞部と伝書鳩。春生まれの若い鳩「コマメ」とともに少しずつ成長する音和が愛おしくてたまらなかった。じんわりと感動をする良書だと思います。2014/03/31
hirune
60
新聞部の活動が伝書鳩の世話と訓練とは面白い。ヒナの時巣箱から落ちたせいで飛べない若鳩のコマメに飛び方を教えようとアスレチックのネットに手をバタつかせながら飛び降りる中学生達、可愛いなぁ☆いろいろな問題を抱えた中学生達も人の話しや書物からの知識を吸収して、コマメのように自分で羽ばたいて飛ぶことを覚えなくちゃならないんだ。河井先生の視線は生徒に向いている、生徒に語りかけることのできる良い先生ですね。2014/12/05
クリママ
54
事業の失敗のため両親が離婚、父親と暮らすことになって、野川のそばの中学校に転校してきた中学2年生の少年。ふとしたきっかけで新聞部に入り、伝書鳩の世話をすることになる。先輩やちょっと変わった先生と過ごす学校生活から少年の気持ちが少しずつ変化していく。無理やりではない自然さが好もしい。そして、何と言っても変わった先生の野川やこのあたりの地形に関する蘊蓄が興味深い。中学校はきっとあの中学。K市、S山、G大、ちゃんと名前を書いてくれた方が、もっと物語を身近に感じられたのにと思う、近隣の住民でした。2020/07/16