出版社内容情報
4年4組を舞台に仕組まれた44の物語。「4」が今、生と死の放物線を描き出す。
――成海璃子、絶賛!「この小説、とんでもないですよ! 本を閉じた後、世界が変わってみえました」
内容説明
無数の語り手と無数のタイトルの内側から浮かびあがる、僕たちの“教室”―。
著者等紹介
古川日出男[フルカワヒデオ]
1966年、福島県生まれ。98年『13』で作家デビュー。2002年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞を受賞。06年『LOVE』で三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa
77
ロックな文。頁をめくるサウンド。薬味を刻む要領でビートを刻め。まずは、八から行け。激しい圧は、照れ隠しの優しさだ。そこまではオーケーだ。バンドこそが正しい集団だ。ギター、ベース、ドラム、ボーカル。そうだ、四から行け。あらゆる“先生”は口答え赦さぬ正義を振りかざすことが職務だ。何かをやれるような気にさせるのは音楽の役割だ。そこまではオーケーだ。CDでデジタル化するよりも、鼓膜に記録しろ。ステマで再生数を伸ばすより、だれにも知られないままがいい。無限に、1な僕らは四で歌を詠んで空気を読んで君を呼んだ。44442019/07/01
さっとる◎
46
かつて1+1=1が証明され得た世界で時間は前も後ろもなくただとまっていたし、どの1も全部違う1で違う方向を向いているなんて、そんなこと。もちろん時間はとまってなんかいないし、ここでバラバラなそれぞれの1が今見るかつての=1だった世界は、近未来道路的に立体交差する点のようで同じポジションをとりながら決して同じ場所を指しはしない。焼却炉の位置は気が付いた時にはもうずれている。世紀をまたいで、元号もまたいで、死を抱えて。過去の声を聞いて、未来への希望を伝えて、それが宇宙の真ん中で停止したって、でも今だけはある。2019/05/31
さっとる◎
44
古川日出男の本に関してはもはや面白かった面白くなかったの判断ができないのだか、これもやっぱり好きだった(笑)。かつて小学生だった私の、あたしたちの、今の断片集。かつて同じクラスとして「1」だったそこに、今相関図は書けるか?繋がらないよ、繋がるけど、繋がらない。泣けるホモ考察「なに食べたって訊かれたらなに食べたって答えるつもり?」、さすが日出男!な空気語「どうしてWWWMMM?」愛だよイキルだよ「どっちの七面鳥がほんもの?」前半の個人的ハイライト。目次だけでテンションが上がる、時々繰り返し開くだろうなこれ。2017/03/14
Mishima
36
思考は時空を超えて。こんな余白がたくさんの本はなんてやさしく私を突き放すのでしょう。しっくりくるのは当然で、わたしたちは、すべからくこのようにモノローグしているからで。そこでは過去とも未来とも自由自在につながって解き放って浮遊して浸って。アリエルコトもアリエナイコトも同一線上に載っていて、まな板の上の鯉のごとくに料理されるのを待っているわけで。ときに、説明だらけの小説をシンセツだなと思ったりウルサイと思ったり。それは太陽をアタタカイと思ったりアツクルシイと思うのと似ているなぁ、って。2019/06/09
磁石
23
相変わらず大筋を捉えることができず、ただただトリップさせられるような。そもそも筋などなく、引き込んで魅せることが目的だったのか……どうとも判断がつかない。まるで夢日記でも読んでる気分。なので大部分捉えられなかったが、「赤ずきんちゃん」の大胆な解釈はえらく印象に残った。強化人間赤ずきんVS森の守護者オオカミ、森を侵すため/守るため半分人間を/獣を辞めた。互いに捨て身の騙し合い、潜り込ませていた/されたスパイおばあちゃんを利用し合う、勝ったのはどちらか……。こんな絵本なら、是非とも読んでみたい。2017/09/14