陰獣トリステサ―綺想ロマン傑作選

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  • サイズ B6判/ページ数 355p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309019871
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

澁澤龍彦が「人獣交合の描写のエロティシズムとグロテスクぶりにかけては、この橘外男の『陰獣トリステサ』以上のものは、まだ世界のどこの文学にも現われていないようだ」と絶賛した表題作ほか、綺想の傑作『青白き裸女群像』『妖花イレーネ』を一挙収録。

著者等紹介

橘外男[タチバナソトオ]
1894年、金沢市生まれ。作家。貿易商館の勤務などをへて、大正年間に執筆活動を開始。1938年、『ナリン殿下への回想』で第7回直木賞受賞。文藝春秋系の雑誌や『新青年』などを舞台に、独特の饒舌体で伝奇ロマン、怪奇幻想小説、異国綺想物、告白小説などに健筆を揮った。1959年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kouro-hou

17
生きていくには必要ないけどエログロはお好きでしょう?見たいモノ見せましょう、ついでにジェノサイドもあるよ!な血湧き肉踊る橘先生の悪趣味路線の代表作「青白き裸女群像」「陰獣トリステサ」「妖花イレーネ」を収録。刑事の調査録や死刑囚の手記の形をとる作品群の変態表現は直接的でなくマイルド、ですが如何わしい雑誌やビデオを覗き見るような後ろめたい、妄想で補われる生々しさが実話(風)作家の面目躍如です。フランスやスペインを舞台に見てきたかのような嘘八百を並べるのも良い。澁澤龍彦先生の解説も濃くて楽しい。2015/01/30

karatte

13
表題作のみ青空文庫にて読了。スペインを舞台にしているせいか、ファンタジーとまではいかないが寓話っぽい感じで、しかも直接的なエログロ描写がないためどぎつさは稀薄。とはいえ扱っている内容は人間道徳・社会倫理的に大いに難ありな代物で、心理的スリルはストレートな表現で示されるよりも想像力を掻き立てられる分、余計強烈かもしれない。2018/11/10

猫丸

11
「青白き裸女群像」「陰獣トリステサ」「妖花イレーネ」の三篇。描かれた事象をそのまま表せば随分と猟奇的であるが、饒舌な語り口のため大衆演劇的雰囲気を醸し、内容ほど陰惨な雰囲気でもない。解説の澁澤龍彦はこれを「西洋講談」と称している。ストーリーの展開をワクワクしながら楽しめるのは少年の感性だろうが、題材が少年向きでないから、いったい誰に読ませたらよいのか処置に困る作品だ。著者橘外男が落第を繰り返し結局退学処分となった旧制中学は僕の出身高校でもある。偉大な先輩だ。2021/06/13

うぼん

1
「陰獣トリステサ」「妖花イレーネ」、デビルマンのエピソードタイトルみたいで読む前からワクワクする。猟奇扇情ゴラク漫画的空想譚三篇。仏西亜各国が舞台だが、エログロを際立たせるための適当な雰囲気作りであって、文学的異国情緒など期待してはいけない。登場人物も欧米人なのに皆日本人ぽいメンタリティで考え動く(宮城谷昌光かよ)のも可笑しいし愛おしい。この何だか猥雑で品のない奇妙な感じ、子供の頃惹きつけられた見世物小屋の庇下に架かる蛇女生誕の一連の説話画を思い出した。まあでもこれを期待して読んだわけでとても満足でした。2022/07/19

アス

1
あんまりエロくもグロくもないのは異常な行為そのものではなく、それを取り巻く他者の機微を主体と描写しているからだと思う。語り口もあっさりと設定だけ挙げられても、今日の創作物の悪趣味に慣れ切ってしまっている身としては若干物足りなく感じる。そういう趣味を満足させる為なら他の本を読んだ方がいい。雰囲気ある伝奇小説を楽しみたい気分ならお勧めできる本。2011/12/24

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