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夏みかん酢つぱしいまさら純潔など―句集『春雷』『指環』

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  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309019314
  • NDC分類 911.368
  • Cコード C0092

内容説明

伝説の女性俳人、生涯の2冊をはじめて1冊に。赤裸々な性と生を綴る。激動の戦後を生き、消息を絶った伝説の女が、この世に遺した証し。

目次

句集 春雷
句集 指環

著者等紹介

鈴木しづ子[スズキシズコ]
1919年6月9日、東京神田生まれ。俳人。戦時中は岡本工作機械製作所、戦後は東芝府中工場に製図工として勤務。俳句は1943年頃から「樹海」に依り、主宰の松村巨湫に師事。48年に職場結婚するが、一年余で離婚、ダンサーとなり、駐留米国黒人兵と同棲。53年、岐阜県各務原から失踪、その後の消息は不明である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テトラ

39
伝説といわれた女性俳人であるらしい。この本はその生涯における二冊の句集をまとめたもの。製図工として戦中を生き、戦争によって愛した人を二度も奪われた女性。後半は奔放な句が増えていくが、それは事実というよりもむしろ。読み終わって本を閉じると、タイトルがしみじみと胸に迫る。いまさら純潔など。今更のこの身体。働いて、人を愛し、失う悲痛も一身に引き受けて。しかし彼女は句集『指環』で、自分は弱く人生というものに完全に負けたのだと言う。女として生きることが今よりも苦しかったであろう時代の、それでも美しい句集でした。2017/05/20

Maki

25
真っ直ぐに愚直に真面目に生活してきました。故郷を離れ指先を凍らせ、慣れない仕事をしながら俳句と出逢い、胸のうちをわずかながらしたためることで心の平穏を図りました。ある日、恋をしました。ささやかな幸せを 願いました。しかし、運命とゆうものはどうしてこうも酷いものなのでしょうか。戦争とゆうどうにもならない運命に逆らう強さなど、どこに、だれに、あったとゆうのでしょう━━。【東 京 と 生 死 を ち か ふ 盛 夏 か な】2020/11/27

ちぇけら

23
春浅し遠く遠くのそびらかな。沸騰する湯を、ひたと氷で冷ます。その沸き上がる湯気に、わたしはしんから寄り添って心をゆだねる。この恋心を決めてほしいと痛む胸が叫ぶのです。乳房の白さよ、その内をはう青き血管にやどる命よ。抱かれる熱につめたい畳が心地よい。つるりとした月の明かりのしたで起きあがる情慾が、ぐらぐらとわたしを揺らしてやまない。だめだとおもいながらも枯葉を鳴らしてまぐわうあなたは、霧の、むこうのひと。ずっとずっと遠くへ行ってしまった。わたしはもう、散って散るさくらのように泣くしかない。2019/03/26

紫羊

23
母を思う句を詠んだ文学少女が、戦争や戦後の占領を経て、やがて「娼婦俳人」と呼ばれるようになる。ページを繰るたびに激しく変容していく句を目で追いながら、彼女の上を過ぎていった時の冷酷さに胸が締めつけられた。世間から完全に姿を消した後、彼女はどんな人生を生きたのだろう。読後、恐ろしいほどの寂寥感に襲われた。 2013/09/11

メタボン

22
☆☆☆☆ 春嵐にたとうような半生。残りの半生の行く末は誰も知らない。句集には破調とも言える句が多い。光を「かげ」と詠む感性。何となくリチャード・ツワージクのピアノを思い起こした。春さむうきびしくぬぐふ玻璃の塵・夫ならぬひとによりそふ青嵐・東京と生死をちかふ盛夏かな・好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷・花の夜や異国の兵と指睦び・霙れけり人より貰ふ銭の額・身の変転あかつきを降る春霰・コスモスなどやさしく吹けば死ねないよ・頒ち持つかたみの品や青嵐・春雷はあめにかはれり夜の対坐・風鈴や枕に伏してしくしく涕く。2015/07/19

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