内容説明
ブッダ、束縛という名の息子ラーフラ、孫のティッサ・メッテイヤ。人間ブッダから始まる三代を描いた新しい才能。第44回文藝賞受賞作。
著者等紹介
磯崎憲一郎[イソザキケンイチロウ]
1965年、千葉県に生まれる。早稲田大学商学部卒業。2007年、『肝心の子供』で第四四回文藝賞を受賞する。現在、会社員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんちゃん
13
芥川賞受賞作の『終の住処』以来の磯崎憲一郎さん読了。『終の住処』もそうでしたが、私の知識不足と読解力不足のために、表面的にしか読めてない。ただ字面を目で追っただけで、著者が言わんとしていることを理解することが出来てない。なんか磯崎憲一郎さんに申し訳ない気持ちです。2015/09/23
訃報
7
この世界観の設定でここまで異様なリアルさをもたせられるのはマジでヤバい。虫育てるところ最高。描かれる思想も何か超越的すぎてよくわからないのだが、作者は何を考えているんだろう?すごい。圧倒的な異物感。2019/02/19
galoisbaobab
7
読み終わると「あータイトルはそういうことかー・・・てか、そういうことなの?」と何回も読み返してしまうけど、何回読み返しても新しい質感と気づかなかった風景に出会う不思議な本です。束縛する生と繋がる命の物語。面白かった!2016/02/09
梟をめぐる読書
6
ブッダから息子ラーフラ、そして孫の代へと至る、シャカ一族の三代記。はじめはブッダの教えに共感して描かれた小説かなと思ったが、振り返ってみれば釈迦の説法や伝説にはほとんど触れられていない。あるのは一個の人間としてのブッダやその息子の悩みと、そんな彼らを嘲笑うように過ぎて行く悠久の時間。ここには間違いなく作者のパワフルな物語作家としての萌芽がある。ブッダの妻ヤショダラの命令で稲作を推し進めるあまり王宮の中庭までもが水田で埋め尽くされたというマジック・リアリズム的な描写が、十年前に読んだ時と同じく心に残った。2022/08/05
メルコ
6
ブッダとその息子ラーフラ、そして孫を巡る物語。実に独特の魅力を備えている。この著者の作品は、どんな内容だったかと思い出そうとすると靄がかかったようになる。しかし読んでいるときは物語のなかにいる手応えがしっかりある。著者も語っているようによくある日本の小説には収まらず、ラテンアメリカの世界を彷彿とさせるものがある。主人公であるブッダとその家族の話が、記録に残っていることと創作を交えて語られる。もっと読んでいたかったところで終わらせたのもいい。またページの文字の具合がゆとりがあり読みやすかった。2020/02/07