定本 謎解き『死霊』論

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  • サイズ B6判/ページ数 274p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309018027
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0095

内容説明

埴谷雄高、没後10年『死霊』がこれでわかる。五十年にわたって書き継がれ、世界文学の極北に聳える『死霊』その構造と核心をはじめて明晰・具体的に読み解いた名著を全面的に改訂・増補した決定版。

目次

洞窟の奥には耆那大雄がいて、釈迦と対話する―「自序」について
永久運動の時計台―1章 癲狂院にて
お喋り夫人登場―2章 死の理論
貴方は、何を策らんでいるのです?―3章 屋根裏部屋
大逆転、それは三輪与志が赤ん坊を抱いたときから始まった―4章 霧のなかで
三輪高志が首を真横へ廻すと、他の世界から来た“それ”がいた―5章 夢魔の世界
黒川建吉の肩の上に垂直に立った“神様”は、高く差しのばした両手から白い水鳥を放りあげた―6章 愁いの王
白い鬚の老人の眼から眩ゆく白熱する強靱な光が奔しりでた瞬間、黙狂の矢場徹吾の告白がはじまった―7章 最後の審判
蒼白い月光のもと津田安寿子と尾木恒子が三輪与志の創造的虚在を理解した―8章 月光のなかで
与志さんの、虚体、が創出されるのです!と津田安寿子が鋭く叫んだ―9章 “虚体”論
書かれなかった『死霊』の全体を構成し、その内容にこめられた謎を推理する
埴谷雄高のなかで『死霊』は完結していた
埴谷雄高との三十年

著者等紹介

川西政明[カワニシマサアキ]
1941年、大阪市生まれ。中央大学卒。60年代後半から70年代はじめ、河出書房新社の編集者として「埴谷雄高作品集」「高橋和巳作品集」を担当。72年より文芸評論に専念。2006年「武田泰淳伝」(集英社)で伊藤整文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

23
埴谷雄高と長年、つきあいがあった作者が、5年もかけて「死霊」の原稿を読み、その意味を探った記録とも言える評論。「カラマーゾフの三兄弟」や「悪霊」を下敷きにスパイ事件、極化した天皇のモデルなどを盛り込むことで自我の存在と非在、宇宙と精神などについて問答をした未完「死霊」。個人的には駒井哲郎氏の「神の白い顔」を巡る問答に惹かれました。2012/12/10

solaris

8
謎解きというより解説本に近い感覚。引用部分が多くて、最初はどうかなと思うが、四章霧の中で、五章夢魔の世界の解説はかなり踏み込んでいる。二十六年の執筆休止期間を経た、小説構想の転換点を明確に指摘している。近代文学に掲載された当時といま私達が読んでいる定本との差異。草稿からの手入れ部分について。章が進むにつれ著者自身の理論の行き詰まりをも指摘。二章死の理論で津田康造と首猛夫の論争、この小説の最初の山場でどうして問答が急に止まってしまったのか。文体の変化について。首猛夫の独白が語られなかったのはやはり残念。2016/01/31

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