地虫鳴く

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  • サイズ B6判/ページ数 433p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784309017167
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

「お前が俺の役目、引き継いでみねぇか」―ある日、土方は尾形に監察方の差配を命じた。探る山崎、進む伊東、醒める斎藤、そして惑う阿部…。兆し始めた「近代」に入っていこうとする、男たちそれぞれの、地を這う旅の行方。地を這う小説新選組。

著者等紹介

木内昇[キウチノボリ]
1967年、東京都生まれ。出版社勤務を経て、独立。インタビュー誌『Spotting』、単行本、雑誌などで執筆や編集を手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

122
大好きな木内昇さんの作品。幕末を新選組から離れた伊東甲子太郎らの視点から描く。近藤勇が実に純粋に魅力的に描かれている。近藤勇と土方歳三のやり取りを読んでいると、その温情と純粋な気持ちに切なくなる。近藤勇という人物がトップでいたからこそ、新選組という組織も纏まりがあったのだと感じた。また、土方歳三の時おり見せる優しさも良い。病床の沖田総司をひっそりと見舞う様子に仲間への細やかな心配りが沁みる。大政奉還から王政復古の流れ等は詳しい記述で興味深かった。不器用な男たちの、それぞれの生き方に哀切を感じる作品である。2019/04/25

いつでも母さん

113
木内作家の『幕末の青嵐』を表とするならこちらは裏なのか!いや、視点が違うだけでこれも新撰組なのだ。ー伊東さん。あんたが望んだ世は本当にきているだろうか。ー私も聞いてみたいな。幕臣の永井と近藤が大坂に下る時に永井が「幕臣と百姓が一緒に語らうなんざけっしてなかった」もう、これが時代の境目を言い得ている。『地虫鳴く』見事なタイトルを付けたものだなぁ。読了後は派手でも無くワクワクも無く愉しかぁ無いんだ。ただそこに自分がいないと云う事実があるだけ。哀しいんだ。木内作家『仙境堂』って塾で結んだのには参りました。2016/02/23

naoっぴ

73
「新選組 幕末の青嵐」のスピンオフ的作品で、伊東一派など脇役の視点から語られるもうひとつの新選組の物語。近藤・土方・沖田など才気溢れるキャラクターや華やかなエピソードもないため、かなり地味で淡々とした雰囲気。「幕末の青嵐」同様さまざまな人物の目線で話が進むが、こちらは知らない人物のために正直ちょっと読みづらい。物語の展開よりも、人の内面の煩悶、葛藤が丁寧に描かれており、人の行動の裏やその心理を感じとる読書の楽しさを味わった。世に知られている新選組を意外な角度から見つめた興味深い一冊。2018/03/22

クリママ

35
「青嵐」で描ききれなかったこと、でも書いておきたいことだったのだろうか。新撰組に伊東甲子太郎が入隊したころから油小路事件のころまで。視野が広まり、また、諜報を担った山崎らに視点が集められてもいる。志の高かった人にも、葛藤しながらも何者にもなりえなかった人にも、時代の波はあまりにも大きく、有能な青年たちが数多く命を落としていく。無能な幕府上層部ではなく、彼らが広く活躍する場が与えられていたら、明治維新のあり方、その後の政治、そして戦争へと続く歴史さえ変わっていたのかもしれないと思ってしまう。2018/02/08

八子@ちょっと復活

15
友達に薦められて。新撰組にはあまり詳しくない私でしたが、十分面白く読むことが出来ました。新撰組隊士でも、全然有名ではない、歴史に名の残らない普通の人たちの話。まさに「勝てば官軍」で、あたかも勝者がすべて正しいと思われるわけですが、もちろん敗者にだって志とか理想とかがあったんだなあ……それが間違ってるとは誰も言えないよなあ……と伊東の最期が切なくなりました。2014/03/24

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