内容説明
書くことも戦いだ。小さい私から大きく振り返る、それが文学だ。芥川は戦い、高見順は激怒し、平野謙は日和り、恆存は冷笑した、そしてまた始まるはてしない「論争」。批評はどこへ行った。そのとき評論家は何をしていたのか。国家を超え、近代をつき抜けるワン・アンド・オンリー作家の祈りと戦い。
目次
「事件」の紹介と前半の纏めに変えて
ことの発端、「忘れ」られたエッセイ 1990東京新聞
後半の概要と結果
さー前半の復習ですよっ「批評ってどーよ」
こうして告発は攻めに入った
そしてついに、本当の敵が、規制御礼、御大コード下における、柄谷文学史観徹底批判
利権屋の逃亡
フィギュアヲタ必死だな(笑)大塚某のしくみ4 あとだしジャンケン
マンガ界にも通報よっ、この人と語りたいっ!論争関連対談
既に過去の人々、デザートとしての福田和也、おまけとしての岡留安則、おまけにもならんけど石原千秋
復帰準備中―戻ってほしいんです群像のエースとして―新編集長と
あとがき じゃ、複数基準で行こっか、プラスオレ的「新定義」、乞異論!
著者等紹介
笙野頼子[ショウノヨリコ]
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。81年、「極楽」で群像新人文学賞、91年、『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年、「二百回忌」で三島賞、「タイムスリップ・コンビナート」で芥川賞、2001年、『幽界森娘異聞』で泉鏡花賞を受賞。2005年、『金毘羅』で伊藤整賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホレイシア
10
いや、いいなー戦う笙野さん。作品を一通り読んだ直後だけに、こちらも思わず力が入る。この方の場合、御本人が着々と進歩していかれるので、相手がついていけなくなっている。同レベルで戦えていないというか、そこが歯がゆくもあり爽快でもある。もう一度あれやこれや読み返そう。2010/11/16
kenitirokikuti
6
図書館にて。笙野の純文学論争ものを順に読み返している。直接の論争部分ではないところ、後半の小川国夫や加賀乙彦らとの対談はふつうに読めるのだが、笙野怒りの猛抗議パートは、そのときの雰囲気を推し量るのが困難で、読んでて途方に暮れる▲笙野頼子については、50代後半になって、やっと正確な診断を得た(重い膠原病)、という補助線を引くと理解できる、という感じ(当然、本書はその前)。2023/06/08
nightU。U*)。o○O
2
論争自体はほとんど唾するべきなほど下らないものだけど、さすがの物書きだからパフォーマティブに悪罵を振りまきつつ深いところで本質を捉えた笙野の文章が読ませる。ぜんぜん飽きない。ただアーカイブ的な意味もあるため対大塚用文を何度も突きつけられるのはさすがに飽きた。後半の加賀乙彦との対談は互いの中身をさらけだしているようで面白い。この諸歴がひと段落ついた後の後書きを読むとじーんときて、これはまさしく闘争史だったのだーという感じ。「そんな西洋はきだめみたいなバブル後のどんづまりの中に私はいる。」という一言が重い。2015/02/09
くままつ
2
この人の尋常でない言葉へのこだわりが伝わってくる。発せられる言葉へ一切の甘えを許さないところが、かっこいい。いくらでも妥協したり迎合したりしてしまいそうなところで、絶対に手を抜かないんだなあ。業だなあ…。2013/05/04
のぞみ子
1
この方のすべてが文学なのだなあ。生きること書くこと戦うこと。みっちり詰まった一冊。すごいカロリー。2015/03/19