そこから青い闇がささやき

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  • サイズ B6判/ページ数 200p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784309015644
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

旧ユーゴスラビア。NATO軍による激しい空爆下で、帰国を拒み詩作をつづけた一人の女性の、胸をうつエッセイ集。

目次

1 カラタチの花、トランク
2 こどもの樅の木
3 光る朝の雪
4 ひなぎくの花
5 鳥のために
6 あどけない話
7 泳ぐ花嫁

著者等紹介

山崎佳代子[ヤマサキカヨコ]
1956年静岡市生まれ。北海道大学露文科卒業。1979年サラエボ大学に留学、ユーゴスラビア文学史を学ぶ。1986年ベオグラード大学文学部修士課程修了。2003年同大学文学部博士号取得(比較文学)。現在、同大学文学部日本学科教官。ベオグラード在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

28
NATOのユーゴ空爆下のベオグラード在住の日本人。詩人で翻訳家の山崎佳代子さんが、その人だ。「最初の空爆は、難民センターに落ちて、死者はクロアチアやボスニアから来た難民女性だったと記憶する。そのうちに、死者の名前が報道されることはほとんどなくなった。どの戦争でもそうだ。『最初は、死者が名前で知らされる。それから数になる。最後は数も分からなくなる・・・』それが戦争だ。サラエボから脱出してきたブランコ・グリンフェルドが言ったのを思い出す。数、数、数のなかに、私たちは組み込まれていった」「百人、千人、数万人と2013/12/17

かもめ通信

24
ベオグラード大学の日本語学科で教鞭を執る詩人であり翻訳家でもある著者が1991年から2003年にかけて執筆したエッセイ集。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ紛争、さらにはセルビアの“民族浄化政策を阻止する”という名目で始まった NATOのユーゴ空爆の最中にも、彼女はベオグラードにとどまり、言葉を紡ぐことをやめなかった。知っているつもりになっていたあれこれに別の側面があることに気づかされるこんな素晴らしい本が品切れ&重版未定なんて信じられない!こんな時代だからこそ読まれるべき、読み継がれるべき本のはず。 2017/01/31

kei

20
1929年から2003年まで存在した国ユーゴスラビア。そんな国に日本の大学を卒業した後にユーゴスラビアに渡り、現在もベオグラードに在住する著者のエッセイ。内戦の開始から終了まで。空爆ももちろんひどいのですが、経済制裁が普通の人々に与える影響が詳しく書かれています。他の方々もレビューで書かれているように、読まれていないのはもったいない本だと思います。2003年発行の本書、どうやら私が利用している図書館では、私が初めて借りた人のようで栞紐をつまむとその跡がきれいに本に残っていました。 2017/03/14

昭和っ子

20
若くしてユーゴスラビアに渡り定住し、ベオグラードの大学の日本学科で働いていた著者が体験した、ユーゴスラビア紛争下での日々。ユーゴスラビアという国の中で、違う宗教や歴史を背負っている何種類かの民族が、それなりに共存していたのに、世界の政治のバランスが崩れた事から、なし崩しに戦火に巻き込まれて行く様が、統治者などでない、著者の身近の、そこに住み、逃げ惑い畏れ慄いている人達の目線で描かれている。バルカン半島は遠いけど、そこで起こった事は、日本人として無関係でないと思わされる。日本語ですごいもん読ませてもらった。2013/12/01

雅櫻

14
ユーゴスラビア紛争を実際にその地に暮らしていた筆者の体験が書かれている。私が生きてきた時間に実際に戦争があったということが薄く膜をはったように非現実的である今この時に、眼の前に突きつけられた現実。子供描く世界は「黒い花」と「黒い人」になっていった。民族間の紛争も悲しかったが、それよりもNATO軍の攻撃が鮮烈だった。「空爆」は差別なく等しくみなに与えられていた。経済制裁は弱い人々から苦しめていった。結局正論をかざしても、不条理は生まれてくる。2013/12/23

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