内容説明
ここに魂に響く確かな言葉がある!近代という底のない絶望の淵から、いま深い希望が甦る。三十年の発言の重み。
目次
光になった矢を射放つ(語りおろし)
まず言葉から壊れた(野田研一・高橋勤)
原質を見失った世界で(辺見庸)
生命の根源はどこにあるのか(辺見庸)
死なんとぞ、遠い草の光に(季村敏夫・範江)
色は匂えど(志村ふくみ)
『椿の海の記』をめぐって(原田奈翁雄)
落ちてゆく世界(リヴィア・モネ)
非現実の時間 現実の時間(瀬戸内寂聴)
「先生、どうして泣くと…」(三国一朗)
土に根ざしたエロス(小川紳介)
「魂たち」の海(加納実紀代)
われわれの行く手にあるもの(佐藤登美)
水俣の海の痛み・魂の痛み(森一雨・天田文治)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおた
17
インターネットで言葉が軽々しく扱われる現代だからこそ読まれるべき一冊。人間は村を捨ててどんどん集合していくが、それは自然との接触を減らすことでもある。西欧同様に自然は拓くべき対象となり、植物や動物に限らずに水や空気すべてによる「生命の連続性」が失われていくと嘆く。人間だけの世界という認識は傲慢であるが、それでも人を「ゆるす」思想をもっと知りたくなった。一方で著者は数字にはめっぽう弱く、数年単位がひとかたまりになったりして語られ、これが本当のマジック・リアリズム。『苦界浄土』以外も入手しやすくなってほしい。2016/04/11