内容説明
兄さん、ぼくはいつから独りなんだろう。太陽(ソル)から2億3千万キロ離れた夏星(シアシン)。謎の物質“ゼル”をめぐる闘いのなか、“永い眼り人”はふたたび目醒めるか。待望の巨篇・第一部。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
80
退廃的で薄汚れた世界なのに、幻想的で美しいのが不思議です。物語はイオの視点で語られる性と陵辱の世界。露骨なまでの階級。それらが極限的な耽美で表現され、きらめく宝石のような世界へと変えていくのはまさに新世界と言えますね。多くを知らなイオが語るので物語は曖昧な輪郭で世界観の掴みにくさはありますが、全てをそのまま受け入れることで新世界は完成して行くのだと思います。次巻以降の展開が楽しみです。2016/01/11
カザリ
48
妹が十代の頃読んでたんじゃないのかな。。いやはや2巻まで読みましたが、すごいね。これは、、なんていうかもうすごいよ。趣味爆発っていうか、露骨な卑猥行為を極限まで耽美的に表現し、かつその凌辱関係を階級差にまで発展させてひたすらいびるみたいな、、読んでいて露骨を裏返ししてオブラートに包んでいるんだけど、ばればれでそれがかえってすさまじすぎて爆笑みたいな、、いやはやすごい。 爆笑はしましたが、2巻までしか読んでません。まさに新世界ではありました。。さすが長野作品。。。2015/07/23
凪織
11
異星を舞台としたSF。星屑みたいにきらきら瞬いているよう。かと思えば路地裏のような薄汚れ仄暗い場面も。物語はイオの視点で語られるが、彼も多くを知るわけではないのでその世界観を掴むのは難しい。無理に読み解くのではなく、そういう世界なのだと飲みこむほうが作品を楽しめるのではないだろうか。宝石みたいに煌めく不思議な言葉達を味わうのも楽しい。ただ、カタカナに弱いので忘れてしまいそう…すでにライスーンとラシートがこんがらがっている…。2015/05/29
恋々
5
図書館で借りたもの。長野まゆみ先生らしい柔らかく繊細な雰囲気に、SFや退廃が入り乱れている。用語がなかなか覚えにくいし、ぼんやりとした物語だから読み解くのが結構難しい。でも凄く綺麗。性行為に対する希薄さ故に抱き合ったりキスしたりするのだけれど、それらの表現が石のような冷たさを常に帯びている。今ある疑問も今後解き明かされてゆくのかしら。世界観も、少年たちの話し方も、全部美しくてドキドキします2014/03/28
砂貴
5
★★★★★R。最後まで読めてなかったので改めて読み直そうと手に取ってみました。長野まゆみの本を読むとついつい同じような言葉になってしまうのだけど、近未来のようでどこか懐かしく、色の描写が美しいです。美しく強かな少年達が素敵。2013/07/01