内容説明
大人のための残酷おとぎ草子。鬼が笑い、女狐が哄う怪異の夜々。官能と霊気渦まく幽玄の都に誘う三篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
耳クソ
12
想像以上にやりたい放題やってたので最高の気分になりました。2023/01/16
cherry☆
12
「白薇童子」「鬼茨」「蛍火夜話」の3篇の草子。最初の1篇は収まるところに収まったという感じだが、後の2篇は無常であること、この上ない。それまでの普通な日々がほんの数時間後には、真っ暗な闇へと堕ちていき、そして命を奪う。その様子は一気に血の気を引くかのような鮮やかな冷酷さがあった。恐れるべきは夜叉ではなく、人。美しい者の見目、振る舞い、そして心。それらがなんと美しいことか。だが、美しく強い心のなんと儚いことか。矛盾しているようだが、強いからこそ儚い。そこがなんとも言い難く、無常。2016/02/16
凪織
10
儚く美しく、不気味な三編の物語。非常に読みやすく、繊細で薫り高いのだが、あまりにも理不尽でもの悲しい。救いようがないのがまた…。特に『螢火夜話』の最後、苅安に詰め寄る蝉丸の長年秘めてきたであろう言葉が胸を抉る。残酷なのに耽美でロマンティックに感じてしまうのが怖い。蝶を食べるとか、なんてグロテスクで麗しい場面なのだろう。2014/12/22
ゆゆゆ
10
耽美で狂気なお話が3つ。昨年文庫も出たけれど著者さまの美麗な挿絵がついているこちらのほうがお得な気分になります。「蛍火」のラスト、蝉丸の悲痛な叫びが切なくて好きです。2013/05/15
ちょび
8
いつもとはちょっと違う和風な長野まゆみワールド。3編の話とも残酷なんだけど美しい世界観に最後まで魅了された。長野さんの書かれた絵も妖しい雰囲気が出てて綺麗。2012/11/21