内容説明
断筆にいたる一年、小説の技術・文学の面白さを論じ、読んで楽しい、文学がわかる、実践・感情移入批評。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
6
同情と共感のあいだを繋ぐのに理解を持ってくるという立場にとって、おそらくは現象学由来であろう筒井康隆の感情移入の立場はブレイクスルー。感情を移入するというのは感性的といえばそうだが、他方で知性的でもある。そこには時間経験の主体としての〈あなた〉がいる。つまり、生きられた体で読むことの重視。2017/11/24
あきひと
1
季刊「文藝」1993年の4回に掲載、最後は断筆宣言直後の情勢について書いている。 筒井さんのSF小説が好きで、書評についても突っ込み鋭く好きなのであるが、今回は自分にとってあまりなじみのない小説家さん作品が多かったので、すっきりせず残念。2022/03/10
yes5&3
1
断筆宣言の文芸的意義を述べた本なので'93.9前の長編・短編集・エッセイを全て読み終えてから着手。文学部唯野教授の講義で、形式、文体で批評する手法は、小説の内容自体がどうでもいいことになってしまい、読者の立場でないと感じていた。感情移入による批評というのは最も読者寄り、作者寄りで好ましいと思います、筒井さん!断筆という手段しかない理由もよく理解できた。さて断筆後の残りの作品に向かおう。「文藝」1993年春季号ー冬号。'94河出書房新社。解説:柳瀬尚紀(英文学者)1943-20162020/08/15
とり
1
「小説界が秘教的になると『面白さ』を軽視して技巧を評価し始める」(意訳)という冒頭の言葉が強く印象に残りました。2012/07/19
じゃぶじゃぶ
1
「小説におけるおれの基本的な姿勢のひとつは『人間はすべて断絶していて、他人の痛みなど絶対にわからない』というものである。」2010/01/23