内容説明
ぼくらはいつか光る船に乗り、テレヴィジョンが映すあの星をめざすだろう。〈鐶の星〉のビルディングからの脱出を夢見て、永遠の「夏休み」を過ごす少年たちを描く、書下し長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
88
面白かったです。長野まゆみさんのSFの世界。巨大なビルディングに住む2人の少年・アナナスとイーイー。生徒宿舎で同室の2人の夏期休暇は永遠の夏休みのように思えました。鐶の星の懐古的で不思議な雰囲気、存在しないものをあたかも存在するかのようにうつしだすテレヴィジョン。一見過ごしやすい快適に見える中で、徐々に壊れて行く日常が不安な雰囲気を漂わせているのを感じます。散りばめられた謎、アナナスとイーイーの運命。色々気になりながら下巻へいきます。2016/02/23
まゆら
6
久々の再読。長野さんにしては珍しい上下巻にわたる長編小説。肉体と意識の相違、不確かさについて書きたかったのかなとも思うが、結局よく解らずに上巻読了。そもそも長野さんが読者に解るように書いておらず、想像する楽しみが減るので不明瞭で良いのだけど、大切な事を一方は忘れ、一方は覚えているって辛いだろうなと思う。2012/09/25
ゆゆゆ
5
夏のうちにもう一度読みたいと思ってハードカバーで再読。2度目だけど細かな設定を忘れていたのでアナナスとシンクロしながら読みました(笑)ですがイーイーの気持ちを思うと切ないです。下巻も楽しんでよみたいです。物語と関係ないけれど<アナナス>と<イーイー>は長野作品の登場人物の名前でいちばん好きな名前です。かわいい。2012/08/27
mimm
5
文庫版を何度も読んでいたので、一応再読?ハードカバーの方が読みやすくて理解しやすい気がします。碧い星に思いを馳せ、存在しない両親へ手紙を書き続ける<鐶の星>に住む主人公と同室の少年。生活するのに快適に保たれた空間で、徐々に日常が壊れ始める。そこはかとなく漂う不安感に、下巻への更なる不安を覚えます。結果を知っているだけに、切ない。2012/07/09
ML-0021234-Eheh
5
とっても面白かった(^^)私的には長野作品の中でも1、2を争うくらい最高。長野さんの作品には所々に話の鍵がちりばめられているのが特長だと思う。鍵を見つけるのに意味があるけれど、実は扉には鍵穴がなくて押せば開く、その先に答えがある、みたいな感じ。全体像は読者に説明せず、元々「そこ」に世界が存在していることを前提にストーリーが展開していく。1度では掴み切れないと思います。2009/07/01