謎のカスパール・ハウザー

謎のカスパール・ハウザー

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  • サイズ B6判/ページ数 361p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784309006611
  • NDC分類 916
  • Cコード C0095

内容説明

1828年、ライン連邦バイエルン王国に奇妙な少年が出現した。穴のなかにひとりで暮らし、言葉もほとんど知らなかったこの孤児は、数人の養父のもとで教育を施されるが、五年後に何者かによって暗殺されてしまう。この少年は果してだれだったのか?著者は新たな視点からこの謎に挑戦し、正体不明の少年の生涯の秘密を推理しようとする。すべての点で確たるアイデンティティを欠いたこの捨て子は、体制に安住した人々にとっては、異物であり、危険きわまりない存在であった。著者はこの点に、主観や秩序を形成する言葉と実存の本質的な問題を見いだし、また少年の謎の生涯に、裏返しのエディプス物語と、捨て子の時代ともいうべき現代に氾濫するカスパール・ハウザー状況の祖型を読みとり、家族神話の崩壊、父親なき社会の予言者として少年を位置づける。

目次

第1章 壜のなかの手紙
第2章 ニュールンベルク登場
第3章 塔と地下鉄
第4章 霊媒カスパール・ハウザー
第5章 夢のなかの城
第6章 顔のない刺客
第7章 カスパール・ハウザー詐欺師説
第8章 性別のふたしかな男
第9章 呪われた古城
第10章 三度死ぬ屍体
第11章 漂泊の王子
第12章 スタンホープ卿の謎
第13章 フォイエルバッハの死
第14章 瞼の母
第15章 二人のザイラー
第16章 鏡文字の告知
第17章 暗殺者たち
第18章 死の床にて