驚愕の広野

驚愕の広野

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  • サイズ B6判/ページ数 158p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784309004969
  • NDC分類 913.6

内容説明

幾層にも夢見られ、語られ、発見された書物の中の書物。その内なる広野で悪夢の旋律に踊る人間=魔物たちの繰りひろげる、終末のファンタジー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bura

71
筒井康隆の実験小説。その曠野は魔界であった。何層にもなる魔界を下って行く。時間も前に戻り先を垣間見る。男たちはその世界の中でただ生き延びようとし、「塩漬肉」を喰らい、殺し合い、蚊や猫の化物に追い詰められ、難無く殺される。文章の突発的な変異が読む者を手玉に取る。物語は千切れ始め、そこに終着点は存在しない。読者は何を見出さねばならないのか。私は悩ましいまま、千切れた文字を拾いに歩く。筒井康隆の難解な 衝撃を胸に刻みながら…。文学的挑戦に挑み続ける作者の1987年の小説である。2023/09/02

猫丸

14
実家からの引き揚げ本。昭和63年初版。複数視点・複数時空が重なり合う趣向の小品である。椎名誠が書きそうな基本設定から始めて、だんだんとメタ記述へとズレていく。広義の実験小説といえるけれど、そこまでキョーレツではなくマイルドに仕上がった。小さい仄めかしはあれど、作品内ですべての説明は足りていないと思われるから、小説を読んで結末に納得したい人には向かない。2022/05/14

ノベツ

8
構成がえぐい。小説とはなんぞや、という問いが剛速球で飛んでくる。 というのも、数百巻ある本の折り返し地点からお話が始まるからである。しかもそれを音読してるお姉さんが若干のネタバレまでしてくる。 長文感想⬇ https://note.com/nobetsu/n/n9b0e89b9027a 2021/04/28

kuukazoo

5
筒井康隆展に行ったので、まだ読んでない作品を読もうと思った。おねえさんとこどもたちに読まれることによって現れた残酷な世界を、わたしが読む。最初は本の形をしていた物語が、ほどけ破れて断片となり、登場人物はみんな何処へ行ってしまったんだ。無明。そしてわたし達もまたこの長い長い物語のどこかで死んで化物に生まれ変わることが書かれているのであろうが、それを読むのは誰なのか。恐くもあり悲しくもある。ところで図書館で単行本を借りたのだがなんと780円であった。1988年の話である。2018/12/20

ベック

3
実験的でクールでありながら、バックグラウンドで蠢く大きな物語の存在に期待が爆発しそうになる。凡百の作家なら、で?それから?ってなっちゃうんだけど、ツツイだから格好よく決まっちゃってる希有な作品。

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