出版社内容情報
21世紀を予兆したとされる作品がメディアで再注目されている小松左京。<トクマの特選!>オリジナルアンソロジー。
内容説明
“小松左京は21世紀の預言者か?それとも神か?”コロナ蔓延を予見したかの如き『復活の日』で再注目のSF界の巨匠。その“予言的中作品”のみを集めたアンソロジー第一弾。米大統領の外交遮断の狂気を描く『アメリカの壁』、中国の軍事大国化『見知らぬ明日』、優生思想とテロ『HE・BEA計画』、金融AIの暴走『養老年金』等。グローバル化の極北・世界の混乱を幻視した戦慄の“明日”。
著者等紹介
小松左京[コマツサキョウ]
1931年大阪市生まれ。京都大学文学部卒。61年「地には平和を」で第1回空想科学小説コンテスト努力賞。73年刊行の『日本沈没』が大ベストセラーとなり第27回日本推理作家協会賞を受賞。85年『首都消失』で第6回日本SF大賞受賞。2011年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
57
小松左京のアンソロジー。とは言え、以前は単独の文庫本2冊を含むなかなかの読み応え。小松左京の「空想」とは言え当時最新の科学的知識、政治的背景をしっかりと踏まえて描く手法にリアリズムがついてくる。それは時が経ったことによって更に厚みを増したように思う。共産中国が国連の一員ではなく「竹のカーテン」の向こうで不気味な存在だった時にその地域から宇宙人の襲来が起こったら世界はどう対処するのか(見知らぬ明日)。米国の孤立主義回帰は何をもたらすのか(アメリカの壁)。地球温暖化の行き着く先は(極冠作戦)。等々→2022/12/12
阿部義彦
20
第3巻を読み終わったので今度は新たに1巻を手に入れて読了。この巻は2大長編が柱で「アメリカの壁」(これは過去に読んでた。)と「見知らぬ明日」(初読みでした)どちらも圧巻でした。後者は言ってみれば宇宙人侵略ものという、手垢のついた話なんですが全然作りものっぽくなく、今いる現実と地続きな感じでジリジリと物語の世界に飲み込まれて、息を呑んで読み進みました。それ以外では「終わりなき負債」がよかったです。ディックみたいな感じ。自分自身のシュミラクルを堪能。年号など出てこないのにディテールで未来と納得させられる筆力!2022/10/07
紡ぎ猫
20
コロナとアメリカの右傾化を予測していた、という誘い文句につられて購入したら、コロナに関してはこの後シリーズ刊行される別の作品集に掲載予定だとかで、この本には載っていなかった。でも「アメリカの壁」はやけに現実味があって面白かった。トランプの表紙が怖すぎる。地球温暖化をテーマにした「極冠作戦」も。これが書かれた当時、地球温暖化についてはどこまで知られていたんだろう。2021/11/01
ひさか
15
2021年10月徳間文庫刊。1962~1977年に発表された12篇を収録。復刊専門レーベルトクマの特選!創刊ラインナップに加わるにふさわしい作家であり作品だと思います。表紙絵にインパクトありました。極冠作戦のラストって、忘れていましたが、なるほど未来につなげる話になってたんですね。2022/02/05
maimai
11
「小松左京 "21世紀” セレクション」と題して全4巻で発刊するシリーズの第1弾。新型コロナの世界的流行を機に『復活の日』にスポットが当たってから、小松SFの「未来予測」の側面に注目が集まっていて、これもそうした流れの中で出てきた企画だと思う。収録作品の半分以上はとうの昔に既読だが、ラインナップを見るとつい買ってしまう。企画としては、当を得ているような、いまひとつ痒いところに手が届いていないような。小松作品を「未来予測」の座標軸でとらえるのは、どうなんだろう。でも、第2巻も読もうっと。2022/03/14