出版社内容情報
1922年の夏、カーニバルでぼくが見たものは? 父親や兄への少年の思いをたくみにえがきだす、英国気鋭の作家による新作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モモ
49
戦争が終わったのに帰ってこない父を待つ兄弟と母。意地悪なケイレブとサニーは兄のジョーを挑発しては痛めつける。町にカーニバルがやって来た。そこの恐怖の館にある、銃で撃たれて死ぬ瞬間の蝋人形「最後の兵士」。弟のウェイトは、その兵士が父と重なって見えた。児童書ながら、ジョーとケイレブの最後の対決にハラハラする。全力で正しいことを行い新しい道を切り開くジョーがまぶしい。少年の成長と戦争の愚かさと悲しみが描かれていて、とても良かった。2020/07/06
S.Mori
30
第一次世界大戦に参加した父親の帰りを待ち続ける少年の話です。アメリカの田舎町にやって来たカーニバルの雰囲気がたくみに描かれ、蝋人形の兵士に対する恐怖を通して戦争の残酷さが浮き彫りになります。短い話ですが、家族の絆、不正と闘うこと、戦争の悲惨さなどさまざまな要素が盛り込まれた読み応えのある小説でした。兄と弟が力を合わせて危機を乗り切る嵐の夜の場面は感動的です。最後の場面でそれまで冒険を夢見ていた兄が地に足をつけて働き始める箇所では胸が熱くなりました。2020/10/04
くさてる
15
1922年の暑い夏、テキサスの田舎町で兄と母と暮らすぼくが、町にやってきたカーニバルの「恐怖の館」で見たものは……というストーリー。児童向けの少年の成長譚に超自然的な味つけが利いていて、思いのほか読み応えがありました。2020/06/06
頼ちゃん
9
ページ数も少なく、たった3日間のことを書いた本だが、父と息子、少年の成長、戦争をえがいて、とても読み応えがあった。2020/08/10
shoko.m
2
1922年の夏、ぼくと兄のジョーが暑くて川の中で過ごしていると、カーニバルの車が何台もつらなってやって来るのが見えた。戦争が終わって何年も経つのに戻ってこない父を待つ日々を送っていたぼくたちは、にわかに活気づいた。その時金持ちの息子、ケイレブがやってきてケンカをふっかけてきた……。戦後を描いた物語ながら、戦争のつらさや悲しみが、カーニバルの恐怖の館に展示されている〈最後の兵士〉のろう人形を見たぼくを通して描かれている。思春期のさなかの兄、ジョーとぼくの成長もまぶしい。2020/09/02