出版社内容情報
山師、策士と呼ばれ今も誤解のなかにある清河八郎は、官途へ一片の野心ももたない草莽の志士だった。清冽な男の33年の生涯を描く。
維新回天の夢を一途に追って生きた男の生涯
山師、策士と呼ばれ今も誤解のなかにある清河八郎は、官途へ一片の野心ももたない草莽の志士だった。清冽な男の33年の生涯を描く。
内容説明
おれは遊蕩児だ。後継ぎにはなれぬ―荘内領清川村の素封家の長男として生まれた斎藤元司は、自我をおし立て貫き通す、ど不敵な性格であった。孤独と閉塞感から逃れ、広い世界を見て学問をおさめたいと、十八歳で出奔して江戸へ出たが…。山師・策士と呼ばれ、いまなお悪評と誤解のなかにある清河八郎の波瀾に満ちた生涯。
著者等紹介
藤沢周平[フジサワシュウヘイ]
昭和2(1927)年、鶴岡市に生れる。山形師範学校卒、48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞。「白き瓶 小説長塚節」(吉川英治文学賞)など多数。平成元年、菊池寛賞受賞、6年に朝日賞、同年東京都文化賞受賞、7年、紫綬褒章受章。「藤原周平全集」(全26巻文藝春秋刊)がある。9年1月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
44
清川八郎の生涯の物語でした。新選組絡みで知ってはいましたが、曖昧な人物像だったというのが本音です。それが少しはっきりと見えてきた感じです。家督には興味を持たず、砲塔息子のようにふらふらしていた八郎。ただ、学業や剣術に必要性を感じているのはやはり武士の血ですね。一見何も考えていないようで、実は貫きたい信念を持っている八郎。これからどう動くのか。下巻も読みます。2023/02/06
誰かのプリン
20
佐幕派、倒幕派によって著しく人物の評価が変わる清河八郎。藤沢先生は故郷が同じなので良い評価をしている。 文武両道の塾を開いた後、攘夷を決行すべく同士を集め始めた。 下巻はいよいよ清河八郎の奇策により京へ。読むのが楽しみ。2019/06/22
takehiro
11
清河八郎の話。名前は知っていましたが何をした人なのかよく知りませんでした。上巻では、女遊びはあったものの学問も剣術もしっかりやっていて先見の明もありそう。攘夷思想の人たちが集まり出して何やら不穏な雰囲気です。2022/09/26
あかつや
6
清河八郎の波乱の生涯。清河八郎って自分の内心を隠して甘い言葉で人を集めて浪士組を結成したはいいが、後の新選組連中に計画を反対され、結局は幕府側にやっつけられる人という認識で、そんなに気にしたことなかったけど、ここまで読んでけっこう印象が違ってきたなあ。ちゃんと剣の修行も勉強も頑張った人だったのね。ただの小狡い野郎かと思ってたよ。フィクションの世界だと主役側の新選組になる面々の最初の敵って感じだもんなあ。そりゃ悪く描かれるよなあ。この小説だとそのクライマックス部分がどんな感じになるのか、下巻が楽しみだ。2020/12/16
Hitoshi.F
4
清川八郎物語上巻といったところだろうか。時代は動乱幕末、清川八郎こと斎藤元司の幼少期から思春期、青年期を描き出している。遊びに明け暮れた少年がここまで文武を極めるのかと驚きが隠せない。さて時は本番、いよいよ波乱の時に突入していく。八郎の考え方、生き様が何を原動力にどのように動くのか… 下巻が楽しみである。2018/10/19