内容説明
自然のなかの目を見張る造形は数理法則にのっとってひとりでにできる。事物に潜むパターンの数理を、豊富なヴィジュアルを楽しみながら明かす3部作、開幕。
目次
1 ものの形―パターンと形態
2 ハチの巣の教訓―泡で築く
3 波を起こす―試験管の中の縞模様
4 体に書かれたもの―隠れる、警告する、擬態する
5 野生のリズム―結晶化する「群れ」
6 庭の草花はどう育つか―ヒナギクの数学
7 胚を展開する―ボディー・プランの形成
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
凛
20
自分がダーウィン主義で思考停止してることが判明。今ある生物や植物の形態が"何故"そうなったのかではなく"どのようにして"そうなったか。自然淘汰の結果ではなく化学・物理法則によって大きく決定づけられている事を、螺旋、六角形、動物の縞・ぶち模様などで多くの図を用い説明していく。生物じゃなく無機物でも同じような結果になるなんて考えたこと無かった!『美は、見る者の目のうちにあるのではなく、自然界に見られる客観的な形態によって私たちが条件付けられている、そのありようから生じているというのだ。by ヘッケル』2014/06/22
たまきら
18
特にミツバチの部分を熟読。これは何かで使える!という雑学に満ちていて大満足。2016/04/11
人工知能
9
非常に興味深い。自然に現れる形態であるハチの巣、動物の毛の模様、指紋などがいかにして形成されるのかを、大量の図と確かな論理で明快に述べてくれる。ハチの巣のハニカム構造は、ハチのなかの遺伝子ですべてプログラミングされてるからできるのではなくて、各々のハチが区画を最大化しさえすれば、自然と六角形が形成されるのであって、単純なダーウィニズムのようにすべての選択肢から自然淘汰されたと考えるのは無理がある、など、生物や自然の形態が物理化学の法則で単純に合理的に説明できるのは新鮮な驚きだった。2016/07/16
モモのすけ
5
このシリーズは写真や絵が多くて楽しい。「生命はすべて究極的には分子の相互作用から生まれているのだ」2013/09/20
6ちゃん
5
自然界に見られるあらゆる形態について、シャボン玉の膜の張り方から生物の形態に至るまで幅広くまとめた良書。話を進める上で避けて通れない数学について、数式をほとんど出さずに説明しているので一般人でも手軽に読める。動物に見られる模様に対する考察で、何らかの選択圧が働いている結果であろうと考えるのは早計で、実は力学的/化学的な面から「意味なく」できてしまう、という説明は興味深かった。生物の構造はすべて目的的でなくても良いほど自然は懐が深いんですな。2012/02/10