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素数たちの孤独

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  • サイズ B6判/ページ数 382p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152090539
  • NDC分類 973
  • Cコード C0097

内容説明

桁外れの数学の才を持つ少年マッティアは、過去に犯したある罪のせいで、孤独の殻に閉じこもっていた。彼は家族や同級生と馴染めずに、みずからを傷つけ続けた。スキー中の事故で片足が不自由になった少女アリーチェ。彼女は、事故のきっかけを作った父を憎みながら育ち、醜い足へのコンプレックスから拒食の日々を送る。少年と少女の出会いは必然だった。二人は理由も分からず惹かれあい、喧嘩をしながら、互いに寄り添いながら、共に大人になった。だがやがて、小さな誤解が二人の恋を引き裂く。イタリアで120万部超の記録的セールス!世界的な注目を集める感動作。

著者等紹介

ジョルダーノ,パオロ[ジョルダーノ,パオロ][Giordano,Paolo]
1982年、トリノ生まれ。現在、トリノ大学大学院博士課程に在籍中。専攻は素粒子物理学。2008年、デビュー長篇となる『素数たちの孤独』がイタリアでは異例の120万部超のセールスを記録。同国最高峰のストレーガ賞、カンピエッロ文学賞新人賞など、数々の著名文学賞に輝いた

飯田亮介[イイダリョウスケ]
1974年生、日本大学国際関係学部国際文化学科中国文化コース卒、中国雲南省雲南民族学院中文コース履修、イタリアペルージャ外国人大学イタリア語コース履修(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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のっち♬

124
幼少期に心に深い傷を負った少年と少女の成長を交互に追う。共に身体的な欠陥として形象化するだけに孤独も交流もナイーブになっており、些細なすれ違いが離別に繋がってしまう。一見構図が手垢のついたメロドラマ的でも寡黙でミニマルな文体や展開、理数系の切り口は清潔感がある。友情、恋愛、夫婦といった一度出来たつながりにしがみついてスムーズに前に進めない悲劇は多くの人物の担うように現代的苦悩だ。ここからのひとり立ちは「自分ではどうしようもない部分を抱え」た人間が「誰でも好きなものを選」べることも自覚した先にあるのだろう。2022/04/22

中玉ケビン砂糖

103
、2008年度ストレーガ賞(イタリアの散文小説を対象にした国内では最高峰の文学賞、過去にはウンベルト・エーコの『薔薇の名前』も獲っている)受賞作、とは言いつつも、個人的には割とフツーの読後感、映画化もされ、イザベラ・ロッセリーニらが出演している、ただし映画祭にて披露されただけで、日本では未公開、身体にハンデのあるイケてない女子と、ある罪悪感に苛まれ続ける天才数学男子、暗い過去をもったふたりがくっつきそうになるけど、それはしょせん共依存に過ぎないのであいまいにして切なくシメるという2015/05/11

藤月はな(灯れ松明の火)

87
あまりにも違う妹に「妹にちょっとの間だけ、いなくなって欲しい」と願い、それが叶ってしまったために「孤独」という罰を自らに与え続けるマッティーア。足を不自由にした父親を一生、責め続けるアリーチェ。あまりにも不器用だったために時々、人々の気持ちに鈍感だったがために残酷だった二人に、周囲の孤独や侘しさ、悔恨、それでも人と繋がりたかった希望が絡み合う。孤独な素数たちは誰しも心の中に潜んでいる。そして二人の人生はあまりにも報われず、不毛に思われるかもしれない。しかし、孤独を受け入れた時からいつまでも始まりはあるのだ2016/05/03

(C17H26O4)

55
互いを深く理解し求め合っていることは確かなのに、彼らの未来は交わることはない。マッティアが自分とアリーチェを双子素数に例えたように。「どちらも孤独で途方に暮れていて、お互いに近くにいるけれど、本当に触れ合うにはなお遠すぎる」孤独の深淵は、僅かな光が差し込むことすら拒んでいるようだ。様々な出来事が彼らをそれぞれの孤独に引き戻そうとするように思えて、とても辛くなった。マッティアが偶然目にしたイニシャルも、ああ、なんて残酷なのだろう。でも彼らは受け入れ選ぶのだ。その毅然とした様子に切なさと希望を感じた。2018/09/04

kariya

34
素数は1と自身以外に約数を持たない。単独で成り立つのは人もまた同じ。少女は癒えない傷を負い、抑えられない拒食に身を曝す。少年は贖えない罪を犯し、呼吸のように自傷を繰り返す。互いの痛みによって当然のように2人は惹かれ合い、互いの傷によって近付けずに阻まれる。初めから近い距離に在るからこそ、隔てを感じ取り立ち尽くす。全てを表すタイトルの美しさもさることながら、2人のもどかしい軌跡を追う明晰で的確な筆致もまた美しい。そして万人の物語でもある。個にして全ではあっても、絶えず他なる孤の解を求めるのが、人間なのだから2009/08/21

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