出版社内容情報
漢字で書かれたテキストとして読むことで、神話や古い伝承ではなく、できごとの記述という『古事記』本来の読み方に迫る。
内容説明
本当の『古事記』と出会う。神話や伝承を書きとどめたのではない―漢字で書かれたことの意味を根本的に問う。
目次
1 基盤としての文字世界(文字世界の形成;『古事記』の基盤としての文字世界;実用の文字と文字の表現)
2 『古事記』の書記と方法(『古事記』の訓主体書記;できごとの継起の物語;訓による叙述の方法―できごとの複線化;音仮名で書かれた歌が成り立たせるもの―叙述の複線化;歌の方法―軽太子・軽太郎女の物語)
3 「古語」の制度(「古語」の擬制―『古事記』序文の規制;「古語」の世界の創出―『古事記伝』)
著者等紹介
神野志隆光[コウノシタカミツ]
1946年和歌山県生まれ。1974年東京大学大学院博士課程中退。東京大学大学院総合文化研究科教授。東京大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とりもり
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面白い。不勉強で申し訳ないが、古事記は稗田阿礼が口伝したものを太安万侶が書き留めたと習った気がしていたが、実際はその当時に現存していた「帝紀」・「旧辞」を「誦習」させたものだということを初めて知った。すなわち、漢字(訓)で記載されたテキストを正しい古語(音)で記録したものが古事記とのこと。古事記自体の内容についての解説はあまりなくって、あくまで日本語を漢字を使ってどう記載していたかを古事記を通して解説している本。これはこれで面白かったが、かえって古事記を物語として読みたくなった。★★★★☆2022/01/26
ELAT
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古事記が漢字で書かれているという点から、単に神話や古い伝承を言葉通りに書いたものとは言えないと説く。確かに漢文である以上は人工的であり、古語とは別物であるだろう。2018/04/28