出版社内容情報
日本文学とは何か,その大きな特徴を古代から近代まで時代を超えて明らかにする東大文学部の講義.巨大な知が集結した源氏物語の作者は本当に一人なのか.万葉集の歌から,中世の和歌,近世の俳諧と限られた文字による表現の真髄,文壇が近代に作りだしたものは何か,文学の核心に迫る.
内容説明
具体的な作品・表現に触れながら、古代から現代まで時代を超えた文学の核心に迫る。
目次
はじめに―なぜ“共同性”を問題にするのか
1 作者はどこにいるか(歌謡の仕組み―雄略記を読む(1)
紫式部の孤心―『紫式部日記』を読む
作者は一人か―和歌や物語の制作の場
個性が生まれるとき―西行と藤原俊成)
2 読者との往還(源氏物語と漢文学―漢詩文の引用と“共同性”;平安時代の和歌―言葉と“共同性”;浪人の連帯感―『西鶴諸国ばなし』に見る“共同性”;テクストの中の“文壇”―近代文学の“共同性)
3 創出される“共同性”(歌うことと書くこと―雄略記を読む(2)
無常観が生みだすもの―方丈記と徒然草
「座」から切り離された発句―『奥の細道』と連句の“共同性”
演技する「小説家」―志賀直哉『城の崎にて』を中心に)
総合討議 日本文学と“共同性”