出版社内容情報
小劇場ブーム以降から現在にいたる日本の現代演劇が抱える、閉塞感とこれからの可能性について縦横に論じた現代演劇論。世界の現代演劇の文脈に占める,特異で,凡庸で,閉塞した,しかし可能性に満ちた「J演劇」とでも称すべき場所.小劇場ブーム以降,2010年代までの日本のパフォーミング・アーツが問うてきた,時代,ドラマ,身体を,世界のマッピングのなかで,著者ならではのスリリングな文体で論じる,今世紀もっとも重要な現代演劇論.
まえがき 〈媒介〉としての日本――舞台芸術のモビリティを高めるために
第I部 現代アメリカ演劇研究の地平――モダン・ドラマとパフォーマンス
1 二〇世紀アメリカ演劇をマッピング/ザッピングする――その〈始まり〉と〈終わり〉をめぐって
2 オニールを読み直せるか?――モダン・ドラマとユージン・オニール
3 リベラル悲劇の顛末――アーサー・ミラーのために
4 ドラマと身体――テネシー・ウィリアムズのテクスト的身体
5 「身体からテクストへ」――カレン・フィンリーとジョン・ジェスランを中心に
6 「アジア系」から遠く離れて――レザ・アブドーと危機的身体
7 〈マルチメディア的〉アメリカ――ウースター・グループからビルダーズ・アソシエーションへ
第II部 J演劇を理論化する ――〈9.11〉のあとに
1 J演劇をマッピング/ザッピングする――2005
2 身体論から「身体」へ
3 松尾スズキからチェルフィッチュへ――〈9・11〉以降の演劇の言葉
4 近代劇は終わらない/始まらない――亡霊・〈国民〉国家・身体
5 〈Jという場所〉で歴史を「undo」すること――〈9・11〉以降の宮沢章夫をめぐって
6 10年代の上演系芸術――ヨーロッパの「田舎」をやめることについて
7 続・10年代の上演系芸術――「ドメスティックな抜けてしまった底」を修復するために
第III部 グローバリゼーションにまみれて
1 「グローバリゼーションは身体に悪い」――トランスナショナルな埒外で共振するポストヒューマンな身体について
2 ヴァーチャルに行く――クリティカル・アート・アンサンブルのポリティクス
3 ジュディス・バトラーへ/から――アメリカ合衆国における演劇研究の「不幸」えおめぐって
4 科学/ガリレイ/革命――ブレヒト『ガリレオの生涯』をめぐて
5 村上春樹を上演(perform = embody)するために――〈いま、ここ〉のマティリアリティの複雑化ということ
6 エクスティンクションの文化から創造としての介入へ<br>――〈現実としての未来〉を構想するために
あとがきに代えて トランスナショナルな〈移動性の現場〉から――移動と滞在
初出一覧
参考文献一覧
索引
人名索引
団体名索引
作品名索引
図版一覧
The Location of J Theatre : Towards Transnational Mobilities
Tadashi Uchino
内野 儀[ウチノ タダシ]
内野 儀
内野 儀:東京大学大学院総合文化研究科教授
目次
第1部 現代アメリカ演劇研究の地平―モダン・ドラマとパフォーマンス(二〇世紀アメリカ演劇をマッピング/ザッピングする―その“始まり”と“終わり”をめぐって;オニールを読み直せるか?―モダン・ドラマとユージン・オニール;リベラル悲劇の顛末―アーサー・ミラーのために ほか)
第2部 J演劇を理論化する―“九・一一”のあとに(J演劇をマッピング/ザッピングする―二〇〇五;身体論から「身体」へ;松尾スズキからチェルフィッチュへ―“九・一一”以降の演劇の言葉 ほか)
第3部 グローバリゼーションにまみれて(「グローバリセーションは身体に悪い」―トランスナショナルな埒外で共振するポストヒューマンな身体について;ヴァーチャルに行く―クリティカル・アート・アンサンブルのポリティクス;ジュディス・バトラーへ/から―アメリカ合衆国における演劇研究の「不幸」をめぐって ほか)
著者等紹介
内野儀[ウチノタダシ]
1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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