出版社内容情報
英・米・アイルランドの小説と詩を題材に、語りの中にひそむ読者、登場人物、世界に対する態度の作り方を通史的に読み解く。
ヨーロッパ近代は「礼節」の時代だった.文学作品の語り手も,読者や登場人物に対し,愛や配慮や善意をたっぷり示す.が,その裏には悪意や不機嫌,嫌悪も垣間見える.「善意の政治学」を軸に,英・米・アイルランドの近現代文学を大胆に読み直した,独創的で味わい深い一冊.
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I 「善意」の文化――16?19世紀の英国
第1章 英会話の起源――デラ・キャーサ『ギャラティーオ』(1558),クルタン『礼節の決まり』(1670)
第2章 女を嫌うという作法――『チェスタフィールド卿の手紙』(1774)
第3章 作家の不機嫌――ジェーン・オースティン『高慢と偏見』(1813)
第4章 イライラの共和国――ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865)
[インタールード1]児童文学とですます調――江戸川乱歩『怪人二十面相』(1936-52)
II 「丁寧(ポライトネス)」に潜むもの――17?19世紀の英・米
第5章 拘束の歓び――ウィリアム・シェイクスピア『ソネット集』(1609)
第6章 登場人物を気遣う――ナサニエル・ホーソーン『七破風の屋敷』(1851)
第7章 やさしさと抑圧――ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』(1861)
[インタールード2] 遠慮する詩人――宮沢賢治『銀河鉄道の夜』(1933)
III 「愛」の新しい作法――20世紀の英・米・アイルランド
第8章 性の教えと不作法――D・H・ロレンス『チャタレー夫人の恋人』(1928)
第9章 目を合わせない語り手――ウィリアム・フォークナー『アブサロム,アブサロム!』(1936)
第10章 冠婚葬祭小説の礼節――フランク・オコナー「花輪」(1969),ウィリアム・トレヴァー「第三者」(1967)
第11章 無愛想の詩学――ウォレス・スティーヴンズ「岩」(1954)
注
おわりに
文献
【著者紹介】
阿部 公彦
阿部公彦:東京大学大学院人文社会系研究科准教授
内容説明
小説家って、けっこう人が悪いんですね。嘘と謀略、善意と愛―語り手の「礼節」から、英語圏の作品を大胆に読み直す。
目次
1 「善意」の文化―一六‐一九世紀の英国(英会話の起源―デラ・キャーサ『ギャラティーオ』(一五五八)、クルタン『礼節の決まり』(一六七〇)
女を嫌うという作法―『チェスタフィールド卿の手紙』(一七七四)
作家の不機嫌―ジェーン・オースティン『高慢と偏見』(一八一三)
イライラの共和国―ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865)
児童文学とですます調―江戸川乱歩『怪人二十面相』(一九三六-五二))
2 「丁寧」に潜むもの―一七‐一九世紀の英・米(拘束の歓び―ウィルアム・シェイクスピア『ソネット集』(一六〇九)
登場人物を気遣う―ナサニエル・ホーソーン『七破風の屋敷』(一八五一)
やさしさと抑圧―ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』(一八六一)
遠慮する詩人―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』(一九三三))
3 「愛」の新しい作法―二〇世紀の英・米・アイルランド(性の教えと不作法―D.H.ロレンス『チャタレー夫人の恋人』(一九二八)
目を合わせない語り手―ウィリアム・フォークナー『アブサロム、アブサロム!』(一九三六)
冠婚葬祭小説の礼節―フランク・オコナー「花輪」(一九五五)、ウィリアム・トレヴァー「第三者」(一九八六)
無愛想の詩学―ウォレス・スティーヴンズ「岩」(一九五四))
著者等紹介
阿部公彦[アベマサヒコ]
1966年横浜市生まれ。1992年東京大学大学院修士課程修了。1997年ケンブリッジ大学大学院博士号取得。2001年より東京大学大学院人文社会系研究科・文学部准教授。専攻は英米文学。『文学を“凝視する”』(2012年、岩波書店、サントリー学芸賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へんかんへん
つまみ食い
7ember