出版社内容情報
共同体の危機と国民の空間に生まれた〈少年〉〈青年〉の概念と、日本近代における〈教育〉の誕生を描き出す。
人が生まれ育ち,何者かになってゆく過程におとずれた「近代日本」とは何であったか.伝統的共同体の危機と国民の空間に生まれた〈青年〉の概念の起源と展開から,メディア空間における〈少年〉(少女)の誕生までを,近代における〈教育〉の意味を照射しながら描き出す.
はじめに
序 章 近代日本における〈教育〉と〈青年〉の概念
1 〈教育〉の概念と言葉の用法
2 〈教育〉と〈教化〉と〈形成〉の区別
3 エデュケーションの翻訳語としての教育
4 植木枝盛の教育論と「開発進達」の思想
5 公教育におけるエデュケーションの系と「教+育」の系
6 福沢諭吉の『学問のすゝめ』と青年期の教育
7 日本社会における人づくり文化の多様性と重層性
8 本書の構成
第一部 〈一人前〉にむけて――近世共同体社会の人間形成
第1章 民衆の子育ての習俗とその思想
1 村共同体と子ども
2 人間形成の思想と方法
第2章 近世社会の家族と子育て
1 小農自立と村の子育ての習俗
2 近世農村の発展と養育への関心
3 都市の町人たちの子育て
第3章 若者の形成と若者組
1 若者組と若者たちの形成
2 権力による取り締まりと若者組の変容
第二部 〈若者〉と〈青年〉の社会史――近世から近代へ
第1章 共同体の解体と〈青年〉の出現
1 共同体から近代社会へ
2 日本社会と〈青年〉
3 青年期教育の二重構造と社会史の視点
4 女性の青年期
第2章 〈青年〉の社会史――山本滝之助の場合
1 「田舎青年」論と山本滝之助
2 『山本滝之助日記』の分析
第3章 〈修養〉の成立と展開
1 〈修養〉の社会史研究に向けて
2 明治初期啓蒙思想と修養
3 初期修養論の継承と深化
4 修養論の多様な展開
5 新しい青年期の登場と修養ブーム
6 新渡戸稲造の修養論
7 修養論からの教養論の分岐とその後の展開
8 修養論の大衆化・通俗化とその担い手
9 青年の自己教育運動の展開と修養の再編
10 修養と教養の戦後史
第4章 〈修養〉の大衆化――野間清治と講談社の出版事業
1 野間清治における修養論の成立とその特徴
2 講談社の出版事業における修養論の展開
3 講談社少年部における修養の実践的展開――「模範少年」の育成をめざして
第三部 近代化の進行と教育文化
第1章 〈少年〉概念の成立と少年期の出現――雑誌『少年世界』の分析を通して
1 雑誌『少年世界』編集者の意図と読者層
2 〈少年〉概念の混乱と整理
3 〈少年〉たちの人生選択と学校
第2章 1920?30年代における児童文化論・児童文化運動の展開
1 児童文化の概念
2 よい文化を与えたいという立場
3 文化の製作者として子どもを捉える立場
4 社会的実践主体として子どもを捉える立場
5 子ども研究の進展と発達論的な視点
第3章 青少年の自己形成と学校文化
1 学歴社会と中等教育
2 戦前日本の受験問題
3 高等女学校の学力問題
4 戦争と中等教育の崩壊
5 戦後教育改革と新制中学校
あとがき
収録論文初出一覧
索引
【著者紹介】
田嶋 一
田嶋 一:國學院大學文学部教授
目次
近代日本における“教育”と“青年”の概念
第1部 “一人前”に向けて―近世共同体社会の人間形成(民衆の子育ての習俗とその思想;近世社会の家族と子育て;若者の形成と若者組)
第2部 “若者”と“青年”の社会史―近世から近代へ(共同体の解体と“青年”の出現;“青年”の社会史―山本滝之助の場合;“修養”の成立と展開;“修養”の大衆化―野間清治と講談社の出版事業)
第3部 近代化の進行と教育文化(“少年”概念の成立と少年期の出現―雑誌『少年世界』の分析を通して;一九二〇‐三〇年代における児童文化論・児童文化運動の展開;青少年の自己形成と学校文化)
著者等紹介
田嶋一[タジマハジメ]
1947年埼玉県生まれ。1966年埼玉県立熊谷高等学校卒業。1971年東京大学教育学部卒業。1978年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。現在、國學院大學教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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