出版社内容情報
戦後あらたに発足した新制中学の卒業者は,農村から都市へと大量に移動し,勤勉な雇用者,「金の卵」となって日本の高度経済成長を支えた.その就職と労働市場への参入は,どのようなメカニズムの下におこなわれたのであろうか.学校と職安という制度が生徒と仕事のマッチングに果たした役割に注目し,職業安定行政がもっともその真価を発揮した1950-60年代を中心に,新規学卒者の就職が制度化されていった過程を追究する.
内容説明
本書は、中学校卒業者の職業へといたる過程に、中学校や、戦後新たに発足した「国営」の職業安定機関がどのように関わっていたのか、こうした「制度」の関与によって、新規学卒労働市場の需給調整がどう行われたのか、さらにはそれによって、学校から職業へのスムーズな移行がどのようにして可能になったのかを、できるかぎり実証的に明らかにしようとするものである。
目次
1章 問題の提起と本研究の射程
2章 学校・職安・地域間移動
3章 職業安定行政の展開と広域紹介
4章 中卒者就職のミクロなメカニズム
5章 女子中卒労働市場の制度化
6章 中卒者から高卒者へ―男子学卒労働市場の制度化とその帰結
7章 結論