出版社内容情報
中国社会の基本的構造(「郷土中国」)と,近代におけるその変化・動態(郷土再建)とは,どのようなものか.現代の中国人が自らの社会を理解する基本的視座を確立したとされる人類学者の「古典」ともいうべき著作を編集したリーディングス.自らの研究人生を振り返ったエッセイも収録する.
目次
郷土中国(再版の序文;郷土の本質;文字の下郷;文字の下郷再論;差序格局 ほか)
郷土再建(中国社会の変動における文化的痼疾;郷村・市鎮・都会;城・市・鎮を論じる;崩壊ではない麻痺;基層の行政の硬直化 ほか)
個人・集団・社会―生涯の学術の道程についての自省
著者等紹介
費孝通[ヒコウツウ]
1910‐2005。燕京大学社会学部、清華大学社会学・人類学部を経て、1936年英国・ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで人類学を学ぶ(哲学博士)。帰国後、雲南大学、清華大学教授、中央民族学院副院長・人類学教授などを歴任。中国社会科学院社会学研究所所長、北京大学社会学人類学研究所所長、中国民主同盟の中央主席、全国政協(中国人民政治協商会議)副主席、全人代(全国人民代表大会)常務委員会副委員長などをつとめる。2005年4月24日北京で逝去
諸葛蔚東[ショカツイトウ]
1962年生まれ、中国科学院大学人文学院教授。北京大学法学博士、一橋大学社会学博士。中国社会科学院日本研究所助教などを経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オオタコウイチロウ
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①「差序格局」を中国特殊論で終わらせないためにはどするべきか。②どこまでも「現実的」なその形而下プラグマティズムに発するからこそ、結果的には、その目的の抽象化と形式化による教条主義として、逆に現実を縛るという、かの国ではお馴染みの反教条主義の教条主義構造。安定=停滞。③その「差序格局」に無自覚に(を考慮に入れずに)行われる形式的な「近代」化は、結果として、むしろ両者の悪いところどりとして現れることは、「清零政策」にまつわる一連の、脱思考の思想、管理と不管理の同居という社会状態に如実に示されている。2023/04/14