出版社内容情報
本書は,日々その重要度を増す金融制度や経済成長,国際資本移動などに関する問題に対して,読者が構造的な理解を得るための理論的基礎を提供する.過去の研究成果を十分に渉猟し,大きな変動に晒される経済システムのあり様を把握するための正確で,最新の見取図を示す.
内容説明
本書は、マクロ経済学、金融、国際金融の各分野を専門とする経済学者が、それぞれの分野におけるこれまでの研究を概観すると同時に、それに関連した最近の研究成果を紹介するという「啓蒙書」である。ただし、通常の啓蒙書と大きく異なるところは、本書におけるすべての章が、浜田宏一教授(現エール大学、東京大学名誉教授)の研究成果を出発点の1つとして議論を展開していることにある。浜田教授はこれまでマクロ経済学、金融、国際金融の各分野において数多くの世界的な業績を残され、そのいくつかはその分野におけるその後の研究を方向づけた基本文献となっている。したがって、あえて浜田教授の研究成果を共通の出発点とすることによって、これらの分野における1つの研究の流れを包括的に振り返り、各分野に残された研究課題を従来の啓蒙書とは違った視点から考察してみようというのが本書の大きな狙いである。
目次
1章 マクロ経済学と日本経済―オーカン法則再考
2章 金融政策と銀行行動―20年後の研究状況
3章 企業経営コントロールの視点からみた金融制度
4章 経済成長と国際資本移動―30年後の理論的展望
5章 国際資本移動―資本は豊かな国から貧しい国に流れるか
6章 金融の国際化とホーム・バイアス・ハズル
7章 国際政策協調と為替レート制度の選択
8章 繰り返しゲームとしての国際通貨体制の選択