出版社内容情報
多種多様な現実に抽象的な法規を適用する自治体の判断の真相に迫り、生きた法の姿を描き出す。行政と法が深くかかわる時代を迎える現在,具体的な事案に直面した自治体現場はどのように法を適用しているのか――環境規制の実例を素材に聞き取りや質問票調査などから得られた知見をもとに,多種多様な現実に対して抽象的な法規を適用する自治体の判断の真相に迫り,生きた法の姿を描き出す.
序 章 自治体現場はいかに法を具体化するのか
第1章 分析の視角と理論的背景――現場部署による規制法の執行
第2章 環境規制法とその実施の現場
第3章 法適用の難しさ――困難な場面と対応戦略パターン
第4章 自治体間ネットワークと法の実施――戦略としてのネットワークの機能と作用
第5章 法適用の正当性を求めて――自治体間ネットワークの背景
第6章 おわりに
Dealing with Ambiguity: How Street-Level Offices Make Sense of Environmental Regulatory Statutes
Ayako HIRATA
平田 彩子[ヒラタ アヤコ]
平田 彩子
平田彩子:京都大学大学院地球環境学堂特定准教授
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ucchy
1
中央省庁が策定した法令は、自治体の現場部署において、事業者に対してどのように実施されるかを環境規制法を題材に論じる。法適用の正当性の確保は現場部署における難題であり、著者は自治体間ネットワークによる自治体の相互作用による正当性確保に注目する。アンケート調査の統計的分析といった量的手法と自治体職員へのヒアリングといった質的手法を上手く組み合わせて説得力のある議論になっている。社会科学研究の手本としても有益だった。また、叙述が慎重、周到で説得的な文章の手本だとも思う。2020/04/01
sk
1
あいまいな法の解釈の際に、自治体間のネットワークが重要な役割を果たしていることを、量的・質的に分析。面白い。2018/06/05