出版社内容情報
貧困にあえぐ「閉じられたカースト社会」から、成長力豊かな「開放的な多様性社会」へと変貌する21世紀のインドを描き出す。
21世紀のインドは,もはや単なる貧困にあえぐ「閉じられたカースト社会」ではなく,グローバル化を通じた世界経済の成長を牽引するとともに,それ自身が成長力をもつ「開放的な多様性社会」でもある.その多面性を眺め渡す基本的・総論的な視座を提供する.
序論 「カースト社会」から「多様性社会」へ――現代インド論のパラダイム転換(田辺明生)
第I編 生存基盤確保の歴史
第1章 環境の多様性と文化の多様性(佐藤孝宏・杉原 薫)
第2章 人口と長期的発展径路――自然環境と「開墾・定住」過程(脇村孝平)
第3章 近現代インドのエネルギー――市場の形成と利用の地域性(神田さやこ)
第4章 生存とジェンダー――「家族」をめぐる言説と実践から(粟屋利江)
[補論1]ユーレィジアン問題(水谷 智)
第II編 開放体系としてのインド世界
第5章 支配と共存の論理――インドにおける国家と社会(太田信宏)
第6章 環インド洋世界とインド人商人・起業家のネットワーク――植民地期における複合性・多様性(大石高志)
第7章 植民地期における国内市場の形成(杉原 薫)
第8章 差別解消の方法とヴィジョン――ガーンディーとアンベードカル(長崎暢子)
[補論2]英領インドの企業(野村親義)
第III編 多様性社会の潜在力
第9章 多様性社会と宗教的共存の文化的基盤――ベンガルの聖者廟におけるヒンドゥー教とイスラーム(外川昌彦)
第10章 独立後インドの経済発展径路――多様性と階層性のガバナンス(藤田幸一)
第11章 民主政治と社会運動――制度と運動のダイナミズム(中溝和弥・石坂晋哉)
第12章 グローバル・インドのゆくえ――多中心的なネットワークの展開(田辺明生)
[補論3]工場の中の神霊(石井美保)
[補論4]連邦制(藤倉達郎)
【著者紹介】
田辺 明生
田辺明生:京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科教授
目次
カースト社会から多様性社会へ―現代インド論のパラダイム転換
第1編 生存基盤確保の歴史(環境の多様性と文化の多様性;人口と長期的発展径路―自然環境と「開墾・定住」過程;近現代インドのエネルギー―市場の形成と利用の地域性;生存とジェンダー―「家族」をめぐる言説と実践から)
第2編 開放体系としてのインド世界(支配と共存の論理―近世インドにおける国家と社会;環インド洋世界とインド人商人・起業家のネットワーク―植民地期における複合性・多様性;植民地期における国内市場の形成;差別解消の方法とヴィジョン―ガーンディーとアンベードカル)
第3編 多様性社会の潜在力(多様性社会と宗教的共存の文化的基盤―ベンガルの聖者廟におけるヒンドゥー教とイスラーム;独立後インドの経済発展径路―多様性と階層性のガバナンス;民主政治と社会運動―制度と運動のダイナミズム;グローバル・インドのゆくえ)