出版社内容情報
ヨーロッパとアジアを結ぶユーラシアという空間。その揺れ動き重なり合う〈東〉〈西〉認識の境界を探る。
ヨーロッパとアジアを結ぶ呼称,「ユーラシア」.そこでは帰属意識,他者認識が〈東〉〈西〉という思考枠組みに結びつき,人々の意識を形作る.隔てでもあり接触の場でもある〈東〉〈西〉の境界を無数に抱えるユーラシア世界の豊饒さに迫る.
序――越境と変容の場としてのユーラシア世界/塩川伸明・小松久男・沼野充義
総論 〈東〉と〈西〉/宇山智彦
I 「ユーラシア」という発想
1 ロシア文学における東と西/安岡治子(東京大学)
2 思想としての戦間期ユーラシア主義/浜由樹子(津田塾大学)
3 現代ロシアのユーラシア主義の検証/中村裕(秋田大学)
II 〈周縁〉から見た〈東〉と〈西〉
4 チェコ人のロシア表象と自己表象/石川達夫(専修大学)
5 ツァーリとシャーに仕えたアルメニア人/前田弘毅(首都大学東京)
6 カザフ知識人にとっての〈東〉と〈西〉/宇山智彦(北海道大学)
III 東西接触による文化・社会変容
7 複合する視線/後藤正憲(北海道大学)
8 セルビア語の言語構造に見る〈東〉と〈西〉/野町素己(北海道大学)
ブックガイド
【著者紹介】
塩川伸明:東京大学大学院法学政治学研究科教授
内容説明
東を向くとアジア、西を向くとヨーロッパ。どこからが他者でどこからが自己か。ゆらぎ、ぶつかり、かさなりあう無数の意識が「世界」を織り成す。
目次
総論 “東”と“西”―特にロシアと東方との関係について
1 「ユーラシア」という発想(ロシア文学における東と西;思想としての戦間期ユーラシア主義―ロシア思想のグローバル・ヒストリー;現代ロシアのユーラシア主義の検証―現実政治の脈絡のなかで)
2 “周縁”から見た“東”と“西”(チェコ人のロシア表象と自己表象―中欧から見たロシア;ツァーリとシャーに仕えたアルメニア人―「言葉の箱」と呼ばれた一族の活動から;カザフ知識人にとっての“東”と“西”―階層的国際秩序の認識と文化的精神性の希求)
3 東西接触による文化・社会変容(複合する視線―チュヴァシの在来信仰とロシア正教会;セルビア語の言語構造に見る“東”と“西”―中東欧・バルカンにおける言語接触)
著者等紹介
塩川伸明[シオカワノブアキ]
東京大学大学院法学政治学研究科教授
小松久男[コマツヒサオ]
東京外国語大学大学院総合国際学研究院特任教授
沼野充義[ヌマノミツヨシ]
東京大学大学院人文社会系研究科教授
宇山智彦[ウヤマトモヒコ]
北海道大学スラブ研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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