出版社内容情報
近代日本政治史研究の基本文献として今なお高い評価を受けている名著を、待望の新装復刊。近衛内閣の誕生から敗戦までを描く。
2・26事件後の激動と不安の時代に,希望の星として期待された近衛文麿.しかし,1937(昭和12)年に勃発した日中戦争は,拡大・泥沼化し,大政翼賛会など国家総動員体制へ,突き進む.近衛新体制の成立から,日米交渉の決裂,太平洋戦争の開戦,過酷な戦時動員,終戦工作,そして敗戦に至る激動の昭和史を描く.【初版1980年】
【著者紹介】
升味準之輔:元東京都立大学名誉教授
内容説明
泥沼の戦争が国家総動員体制の確立を推し進める一方で、崩落しつつある政治の期待を近衛文麿が一身に担う。統合を欠いた国家運営は、天皇の活性化により敗戦へと帰着した。政党史の枠を越えた一大史論、完結。
目次
第19章 支那事変と国家総動員(支那事変;国家総動員と政党)
第20章 近衛新体制(近衛新体制;重慶工作と日米交渉)
第21章 戦争と平和(太平洋戦争;東条打倒;終戦工作)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バルジ
3
著者が「あとがき」で記しているように最早「政党」の影も形もなく国際政治史まで拡げた当該期の論稿となる。政党政治家は空虚な「大政翼賛会」とそれに続く内紛でしか政治勢力としての存在感はない。本書では日米中の外交交渉と奏薦集団の活性化に重きが置かれる。殊に後者はそれまで政治的に比較的中立であった皇族をも巻き込み、戦争終結へと歩を進めていくが、この奏薦集団活性化は天皇の政治的能動性も喚起し「聖断」へと続く。明治維新以降の「集権化」は有事において政治的真空を生み出し天皇の「活性化」で精算される。形を変えた維新の姿か2022/12/12
Masayuki Manabe
0
もはや政党史論ではない。ただの政治史。しかも史料を切り貼りしただけの。2016/12/16