出版社内容情報
近代日本政治史研究の基本文献として今なお高い評価を受けている名著を、待望の新装復刊。帝国議会下の政府と政党の関係を描く。
1890(明治23)年の帝国議会開院を契機に,官僚機構や地方制度の整備と相まって,政党には自由民権運動とは異質の性格が生じた.伊藤博文・山縣有朋ら元老から桂太郎・原敬・西園寺公望に及ぶ帝国議会における政府と政党の関係をたどる.【初版1966年】
【著者紹介】
升味準之輔:元東京都立大学名誉教授
内容説明
天下熱は政治的流動状態を前提とした目標不確定の投機的燃焼である。集権化の進行が国家体制と中央政界の発展をうながし、議会という政治的舞台を得た政府と政党の関係は新たな段階へと突入する。
目次
第4章 官僚制と府県会(官僚制の形成;府県会と地方政治)
第5章 一八九〇年代の議会と政党(大同団結;初期議会;自由党四派)
第6章 初期の政友会(創立前後;野党てしての政友会)
感想・レビュー
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バルジ
2
第二巻では帝国議会の最初期から政友会創立、第一次西園寺内閣までを地方政界や官僚閥形成の過程を織り込みながら論ずる。本書では一筋縄ではいかない「政治家」が藩閥政府の首脳陣を苦しめる。説得・買収・解散とは当時の政府が取れる議会操縦術であるが、それですら政権運営は覚束ない。「超然」内閣は帝国憲法体制の構造上行き詰まり、そこに政党が権力に割り込む余地が生まれる。そしてその余地に割り込まんとする政党政治家や元老周辺の策謀家が暗躍し徐々に政党の「政権」が近付いていく。本書における伊東巳代治は正にその典型的策謀家である2022/11/09