出版社内容情報
さまざまな改革が叫ばれながら,日本の行政システムはなぜ大きく変わらないのか.戦後改革を経て,組織と人事のしくみはなぜ持続したのか.そのメカニズムを分析し,日本的特質を明らかにする.省庁再編,分権改革などによっていよいよシステム転換を迫られる今,官僚制の将来像を展望する.
内容説明
変わらなさの要因をさぐり、改革への新たな展望を示す。
目次
序章 官たちの世界
1章 持続した官のシステム―立ち枯れた職階法
2章 変わらぬ大部屋主義の職場組織
3章 規格化された組織とその管理
4章 定員削減のメカニズム
5章 日本国所管課の活動
6章 分権改革と省庁の対応
終章 官のシステムのゆくえ
著者等紹介
大森彌[オオモリワタル]
1940年東京生れ。1968年東京大学大学院修了、法学博士。1984年東京大学教養学部教授。1996年東京大学大学院総合文化研究科教授。1997年同研究科長・教養部長。2000年東京大学停年退官、千葉大学法経学部教授、東京大学名誉教授。2005年千葉大学定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あきあかね
22
明治国家の建設とともに誕生し、戦後改革を経てもなお継続してきた、官のシステム。本書は、日本の行政活動、官僚制を組織や人事の観点から明らかにする。 省庁再編や地方分権といったマクロの視点もあれば、職場の「大部屋主義」、法律案や予算案の作成、国会答弁の作成の具体の流れなど現場レベルのミクロな切り口からも分析されている。 分析に留まらず、様々な提言もなされている。省庁間のセクショナリズム、縦割りの弊害を是正するため、省庁間の人事交流の促進、更には、特定の省庁での終身雇用ではなく、「日本国事務官·技官」の⇒2019/09/15
Rie【顔姫 ξ(✿ ❛‿❛)ξ】
2
テーマは興味深いのだが、学術本のため多少とっつきにくい。全部細かく読むと時間がかかるので、ざっと読んで返却しちゃった・・・。2012/09/22
ななっち
1
職階制についての記述から始まり、官僚組織の性質やシステムなど、大森節にて記述されています。いやー、懐かしいなあと思いながら一気に読んでしまいました。2011/11/07
55くまごろう
1
政治主導、行政改革を考える際に、実際の官僚システムがどのようなものかを知る必要があると考え本書を手にしたが、当初の目的どおり、官僚の世界、職場がどのようなものであるかのイメージが得られた。政治主導の実現とは、単なる政治家がパフォーマンスではなく、現在の政と官の関係を規定する組織制度の見直しから考える必要がある。具体的には事務次官を頂点とする官の人事制度の改革だろう。2011/04/07
hachiro86
0
職階性がなぜ定着しなかったか、というところから始まり、「はじめに職員ありき」の日本官僚制の本質を見事にえぐりだす一冊。だが本書でいちばんおもしろいのは、むしろ官僚実話系の裏話ネタ。佐藤優あたりの外務省暴露ネタともあわせてどうぞ。2016/03/15