出版社内容情報
古典古代から近代に至る通史.主題はヨーロッパ,重点はクリスト教的ゲルマン世界の近代におかれる.直接政治を論じたものにとどまらず,神学や哲学,宗教改革や観念論などのテーマを,思想と理論の相互往復に焦点をあわせる視角から究明.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
24
冒頭いきなり「東大法学部において行ってきた政治学史の講義内容」に整理を加えたものとあるのには、いろいろな受け止め方もあろうが、南原繁-福田-佐々木毅と続く伝統ある講座の記録として興味深い。古典古代からヘーゲルまでの政治思想をたどった事典のような大冊(著者は亡くなられたが、かつて非正規(?)で聴講したことがあり懐かしい)で、今回ルソー周辺を確認するため全体の1/5程度だけ読んだが、講義調で読み易いとはいえ流石に濃い。ルソーの部分は、単著「ルソー」とまた違って、当時の政治状況との関わりに詳しく、理解が進む。2014/03/23
白義
15
古典古代のソクラテスから近代のヘーゲルまで、それぞれの思想家たちの思考の前提にある時代の流れを描いた上で、さらに政治に留まらぬその思想の体系をも明確に、濃密に書き込んでいる。未だに政治学史の最高峰の教科書の一つだろう。目配りも広く深く、中世のマルシリウスを民主的要素のあった思想家として、さらにはオッカムのウィリアムを社会契約論の元祖として紹介し、ユートピア思想を過酷な現実との思想的対決としてトマス・モアに限らず細かに取り上げるなど今読んでも新鮮さは色褪せない。まさに必携の書である2014/10/04
中年サラリーマン
9
小室直樹氏の著書でちょくちょく引用されています。内容が濃すぎです。これ一冊持っとけば他の同本はいらないのでは?2013/10/19
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
7
筆者が担当した東大法学部の「西洋政治思想史」の講義録(ちなみに「日本政治思想史」の担当は丸山眞男)。講義担当者の変遷は南原繁→筆者→佐々木毅で、南原の講義は丸山文庫で講義ノートを読んだことがある。佐々木毅の講義は文庫にもなっている。内田義彦の専修大学での講義録『経済学史講義』に触発されたらしいが、良くも悪くも福田歓一のこの本はTHE・教科書で西洋政治思想史の「粗筋」がちゃんと書いてある。前半が面白かったな。後半のホッブズ・ロック・ルソーは『近代政治原理成立史序説』と被るのでロールズの講義録と一緒に読むと。2016/08/21
まさにい
5
凄い本です。学者とはここまで突き詰めて考えるものなのだと感服した。しかも、判り易い。判り易いとはいえ、理解するにはある一定の知識は必要であるのですが……。もっと早くこの本にたどり着いていれば、憲法の理解もスムーズに行けたと思う一方で、そうしたら、その当時の憲法の本(特に自然権の部分)については、疑問を持ってしまうとも思えた。実は、大学に入って、自然権という考え方を知って感動したのですが、よくよく考えてみると、自然権の実態がわからず、苦労していたのです。ここに来て、はっきりとして来たような気がします。2020/09/22