出版社内容情報
公文書の保存・管理はいかにあるべきか――外務省所蔵文書に加え,政治家や外交官へのインタビューなども用いつつ,明治以降150年におよぶ外交文書の記録・保存と公開の歴史を通史的に解き明かす.公文書管理の問題が大きくクローズアップされるなか,欧米など他国の事例を交えてそのあり方を鋭く問いかけ,将来の展望を示す.
内容説明
外交文書はいかに記録・保存・公開されてきたのか―公文書をめぐる外務省の150年。明治から現在まで、外交文書の記録・保存と公開の制度を通史的に分析し、公文書のあり方を問い未来を展望する。
目次
序章 なぜ公文書管理が重要なのか―「書類整備の完否は外交の勝敗を決する」
第1章 外務省の文書管理と編纂―1869~1941年
第2章 太平洋戦争から占領、独立へ―1942~1968年
第3章 外務省外交史料館と30年ルール―1969~1992年
第4章 外務省文書課の廃課と情報公開法―1993~2000年
第5章 アジア歴史資料センターと外務省改革「行動計画」―2001~2008年
終章 外務省「密約」調査と公文書管理法―2009年~現在
著者等紹介
服部龍二[ハットリリュウジ]
1968年東京都生まれ。京都大学法学部卒、神戸大学大学院法学研究科単位取得退学。博士(政治学)。現在、中央大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
22
外務省文書の保存と公開がどのように行われてきたのかを、政治家、官僚、学者の3者関係の視覚も交え通史的に著述。30年ルールの起源や当時の関係者の議論についても詳説されている。◇研究者の間で大平正芳の人気が高いのは、大平が多くの一次史料を残したからだけでなく、情報公開が民主主義の根幹だという信念を持った政治家だった点にあるのだろう。◆昨今、何かと課題の多い公文書管理だが、アーキビストの育成が進まないのも、その能力に見合った社会的認知度が足りていないことも一つの要因ではなかろうか。2020/07/26
書房
0
かつて石井菊次郎は、「書類整備の完否は外交の勝敗を決する」と語った。また、重光葵は「記録なくして外交なし」と語ったという。このように、公文書管理の不備が国内政治上の大問題となる昨今において、先駆的に公文書を管理・公開し、体系的に政策決定過程を残す伝統を有してきたのが外務省である。その外務省の文書管理・公開の制度と運用を実証的に描く本書は、それでも記録管理・公開の不備が対外関係に負の影響を与えてきた原因や、内閣府主導の横並びによる公文書管理適正化が抱える問題点をも浮き彫りにしている。2020/07/12