政治の覚醒―マキァヴェッリ・ヘーゲル・ヴェーバー

笹倉 秀夫【著】

東京大学出版会（2012/01発売）

• サイズ A5判／ページ数 370,／高さ 22cm
• 商品コード 9784130301541
• NDC分類 311.2
• Cコード C3031

出版社内容情報

国家と個人とナショナリズムの関係や、政治に必要な技術思考など、政治的思惟の本質を、三人の思想家から浮き彫りにする。

人類の長い歴史的経験を踏まえたうえで「政治」固有の論理を発見した三人の思想家に焦点を当て，その思想の全体像と特質を浮き彫りにする．国家と個人とナショナリズムの関係，政治的行為の技術や必要な思考など，政治的思惟の本質を深い洞察のなかから鋭く描き，混迷する現在を逆照射する．

序論――西洋史に見る「政治の覚醒」
第一部　マキァヴェッリ
第一章　マキァヴェッリ像の新構築／第二章　マキァヴェッリと古代軍事学
第二部　ヘーゲル
第一章　自由と市民宗教――ベルン期／第二章　自由と愛――フランクフルト期／第三章個的自由への不信――イェーナ前期／第四章　〈自由人の結束〉の再生――イェーナ後期／第五章　〈自由人の結束〉の展開――その後のヘーゲル
第三部　ヴェーバー
第一章　ドイツ政治と自立精神／第二章　危機下ドイツと自立人形成／第三章　自立人像の原型――二つのプロテスタンティズム論文

【著者紹介】
笹倉秀夫：早稲田大学法学部教授

内容説明

政治の論理とは何か？核心を問い本質に迫った三人の思想家に焦点を当て、国家と個人、ナショナリズムの問題を鋭く描く。

目次

西洋史に見る「政治の覚醒」
第１部　マキァヴェッリ
（マキァヴェッリ像の新構築；マキァヴェッリと古代軍事学）
第２部　ヘーゲル（自由と市民宗教―ベルン期；自由と愛―フランクフルト期；個的自由への不信―イェーナ前期　ほか）
第３部　ヴェーバー（ドイツ政治と自立精神；危機下ドイツと自立人形成；自立人像の原型―二つのプロテスタンティズム論文）

著者等紹介

笹倉秀夫［ササクラヒデオ］
１９４７年兵庫県に生まれる。１９７０年東京大学法学部卒業。現在、早稲田大学法学学術院教授（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[やまやま]

3人に共通する原理を三つ挙げる。まず、強固な政治的結束が国家には必要とした。二つ目は、真に強い国をつくる道は、上からの一方的な統制・強制ではなく、人々が自立し主体的に結束する下からの道にあると考えた。三つめは、逆に政治リーダーによる上からの統合も欠かせないというリアルな見方をもっていた。結果、個人は自由を得ても自閉化せず団結に向かい、一方君主や国は権力を得ても私益追求や抑圧に向かわず統合の担い手として存在し、ともに公共善を担う存在と位置付けられる。これは、三人のおかれた政治状況の相似から導かれるとする。

2021/04/19

[フォロスト]

マキァヴェッリに関するところだけ読了。従来のマキァヴェッリ像、特に佐々木毅による性悪説的な「原理的人間観」を中心としたマキァヴェッリ像を否定して、より常識的なマキァヴェッリを引き出そうとしたところについて一点。本書で著者が引用したマキァヴェッリの文章について、『マキァヴェッリ全集』の訳と意味が正反対の部分があった。この人が訳を間違えているのか、自説補強のためにわざとそうしたのか、全集が間違っているのか。また、文脈を無視した強引な部分もあった。その点注意。

2015/01/21