出版社内容情報
満洲事変から日中戦争期に,日本外交が国際連盟をいかに捉え,どのように対応してきたのかを集団安全保障の観点から検討する.連盟脱退後,「連盟と併存可能な脱退国」路線の模索から断念にいたる過程を詳述し,連盟外交の軌跡を跡付ける.日本外交における集団安全保障観の変遷に着目し,戦前戦後をつなぐ.
目次
序章 戦間期日本における国際連盟
第1章 満洲事変下の連盟外交―集団安全保障の「再発見」
第2章 九カ国条約と集団安全保障―「満洲国」承認問題をめぐって
第3章 連盟外交の再構築を目指して―「連盟と並存可能な脱退国」と「連盟を排除した脱退国」のはざまで
第4章 モントルー会議と省内対立の解消―「連盟と並存可能な脱退国」路線の巻き返し
第5章 国際連盟への期待と不満―通商均等待遇問題をめぐって
第6章 日中戦争下の連盟外交―集団安全保障の拒絶へ
終章 日本外交にとっての国際連盟
著者等紹介
樋口真魚[ヒグチマオ]
成蹊大学文学部国際文化学科専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
3
満州事変を機に国際連盟が自国の安全保障政策に影響し、日中戦争期には「集団安全保障」を発見したという視覚に基づき考察した一冊。佐藤尚武や杉村陽太郎といった「連盟派外交官」、重光葵や有田八郎といった「アジア派外交官」との間で展開される国際連盟を自国の安全保障政策の中にいかに位置付けるかの暗闘は国際協調と現状変更の狭間で揺れる日本外交の混迷を表す。元々別立ての九カ国条約は1930年代に入り国際連盟と連関した秩序形態となる。ここにおいて「集団安全保障」が日本に対して浮上する。当時の答えは対峙であった。2023/04/15