出版社内容情報
三大文化圏の十字路ノルマン・シチリア王国．土に埋もれた墓碑銘や古文書館に眠る羊皮紙から，失われた王国が鮮やかによみがえる．歴史学の手法を駆使して王国の謎を解き，中世地中海世界のダイナミックな異文化接触の実態に迫る．新しい世界史像構築への挑戦．
内容説明
地中海世界のダイナミックな異文化接触の実態に迫る。三大文化圏の十字路ノルマン・シチリア王国。土に埋もれた墓碑銘や古文書館に眠る羊皮紙から、失われた王国が鮮やかによみがえる。
目次
１ 魅惑する王国（きらめく過去への扉；羊皮紙に記された三つの言語）
２ 神秘の中世王国（三人の王の物語；王国に住む人々；王の支配）
地中海世界のプリズム（王国内に併存する異文化；異文化圏を行き交う人々）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
10
十字軍真っ盛りの中世、キリスト教徒、ビザンツ人(ギリシャ人)、ムスリムが共存する奇跡のような国。近代法治国家の先駆けとも称される高度に整備された行財政機構。著者は、そんな数多の歴史家を魅了してきたシチリア王国像に、”待った”をかける。実際の歴史研究の方法を駆使しながら言う。共存？高度で複雑？そうでもないと。史家も人の子、時代の子。知らず知らずに自身の願望や価値観を投影してしまう。でもそれでは、歴史学の本質を歪めてしまう。先入観を捨てろ。著者の主張は明確だ。版元は東大、相応しいアカデミックな一冊。2022/04/20
印度 洋一郎
3
中世のシシリア島にノルマン人武将が建国した王国の統治機構や、多文化社会の実態を探る。地中海の只中にあり、ギリシャ、ラテン、イスラムの三つの文化圏に跨って様々な人々がやってきて、微妙な共存関係を保ちつつ繁栄したという。当時の先進地域だったイスラム圏の文明を活用し、宮廷官僚や軍人、商人、そして農民達にもムスリム達がいた。巷間「他民族の平和的共存の実例」として賞賛されたこともあるそうだが、実際のシシリア在住のムスリム達が、やってきた同胞に「改宗の圧力や有形無形の差別がある」と吐露した本音が興味深い。2015/03/16
刻猫
1
地中海の中心、異文化の出会う焦点。必ずしも共存ではなく、しかし併存していた状況。何が可能として、何を生み出したのか。2017/07/17
陽香
0
199509142012/09/30
