出版社内容情報
インドからスリランカ、そして東南アジアに伝わった「上座部仏教」と、日本にも伝わった「大乗仏教」という図式は近代が作りだした二分法であった。近代の分類概念を克服し、サンスクリット語とパーリ語をめぐるダイナミックなネットワークの実態から仏教史の新しい展開を切りひらく。
内容説明
「大乗仏教」でもなく、「上座部仏教」でもない―サンスクリット語からパーリ語へ「聖なる言語」の転換から描きなおす新たな仏教史。
目次
聖なる言語の国際空間
1 不在の中心(仏教に「正統と異端」はあるのか?;インド仏典の多元的伝承―部派と大乗;サンスクリット・コスモポリスの仏教)
2 中心と周縁(スリランカにおける史書の誕生;パーリ語原理主義;ブッダゴーサが示す仏教の未来)
3 周縁の正統(正史の王権論―「教え」と「異端」;パーリ・コスモポリスの形成;近代における「大乗仏教」と「上座部仏教」の創造)
神々の言葉からブッダの言葉へ
著者等紹介
馬場紀寿[ババノリヒサ]
1973年青森県に生まれる。2006年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。2010年東京大学東洋文化研究所准教授。現在、東京大学東洋文化研究所教授。著書に『上座部仏教の思想形成―ブッダからブッダゴーサへ』(春秋社、2008年、日本南アジア学会賞、日本学術振興会賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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