出版社内容情報
行動の原因を,状況よりも心(性格や動機)に求めがちで,自然と相手の良し悪しをみきわめようとしてしまう私たち.他者を知り,関わろうとするとき,心の中では何が起きているのか――対人認知というフィルターを通して,人間の心の社会性,他者とのつながりのあり方に迫る.
目次
第1章 対人認知を考える視点―他者をみきわめる目
第2章 性格特性からみる評価の役割
第3章 行動の原因としての心
第4章 心の推論方略
第5章 人間としてみる
第6章 道徳性の根拠としての心
第7章 互いにみきわめあう私たち
著者等紹介
唐沢かおり[カラサワカオリ]
京都大学大学院文学研究科博士後期課程退学。カリフォルニア大学ロサンゼルス校大学院博士課程修了。Ph.D.現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は社会的認知(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sk
8
対人認知の構造について理論的に記述している。とても参考になった。2019/02/24
coldsurgeon
4
毎日を他者との関係の中で過ごし、他者との関係が生活を形作る。対人認知は、出会う人の心を読み、見極め、評価することにより、自分の社会というものを形成する。一方、他者により私も、その社会を形成する一要素となりうる。心を読むという対人認知が、他者に対する取り扱いをどのように左右するのか、見極めることがどのような社会的帰結をもたらすのか、ということを考えなくてはいけない。そして、共感は仲間内の結束を強くするかもしれないが、外に対しては排他的になる可能性を生む。忖度しすぎないように、心がけなくてはならない。2018/04/19
kenitirokikuti
4
著者は社会心理学で、本書は対人認知を扱い直すもの。モノ化や動物化(非人間化 dehumanization)は、他者への加害行為の認知的な基盤として議論されてきた(p.170)。モノ化の典型として、マッキノンの反ポルノ論が取り上げられていた。マッキノンは女の身体が、男性にとっての性的対象としていちづけられることで道具化されるとする▲反・反ポルノなひとも、クソフェミを自分たちの「道徳的配慮の対象となるコミュニティから排斥」しがちなので良くないね。向こうも同じ性質もつけども2017/12/09
アヒル
2
優しい=易しい本2021/10/13
ばにき
2
推論について。人が他者の心を(過度に)推測し評価するのは、対人関係がそれだけ生きる上で重要だからだ。しかしその多くにバイアスがかかるのは知っておくべきだろう。2019/11/21