出版社内容情報
死刑,安楽死,脳死,殺人,戦争,動物利用――さまざまな倫理的問題に潜んでいる虚構とは何か? 「人格」「所有」といった近代的な概念が可能にしている“死をめぐる思考”を問い直し,社会制度や宗教文化をふまえた,私たちの死生観の深層を探る.和辻哲郎文化賞,中村元賞を受賞した『人格知識論の生成』から,さらに現代の課題に挑む渾身の作.新たに補章を増補する.
内容説明
死の倫理的問題に潜む虚構とは?死刑、安楽死、脳死、殺人、戦争、動物利用―「人格」「所有」という近代的概念が可能にしている“死をめぐる思考”を問い直し、社会制度や宗教文化をふまえた、私たちの死生観の深層を探る。現代の課題に挑む哲学書。
目次
序章 「涙の哲学」に向けて―「死」の誕生
第1章 死刑不可能論―死刑存廃論に潜む倒錯
第2章 「死ぬ権利」の欺瞞―安楽死の陥穽
第3章 生命倫理と死ぬ主体―胎児、代理母、クローン、そして死にゆく人
第4章 殺人者の人格性―虚構なのか適応なのか
第5章 殺された人の非存在性―「害グラデーション説」の試み
第6章 戦争という法外な殺戮―戦争をめぐる事実と規範
第7章 動物たちの叫び―動物実験と肉食の彼方
終章 死に基づく認識論―生と死を貫く同一性
補章 死の害についての「対称性議論」―「害グラデーション説」から「因果連続モデル」へ
著者等紹介
一ノ瀬正樹[イチノセマサキ]
1957年茨城県土浦市に生まれる。1981年東京大学文学部卒業。1988年東京大学大学院人文科学研究科博士課程(哲学専攻)単位取得。東洋大学文学部専任講師、助教授、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部助教授、のちに教授。英国オックスフォード大学the 2010 Uehiro Lecturerなどを歴任。博士(文学)。現在、東京大学名誉教授、オックスフォード大学名誉フェロウ、武蔵野大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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