出版社内容情報
明治以降の作家たちの主調低音となった〈反近代〉の精神の系譜を鋭利に探る論考を収録。安藤宏・東京大学教授による解題付。
時代の背景を特徴的に示す挿話で綴った巧みな近代文学史ともいうべき「近代文学の諸相」を中心に,明治以降の作家たちの主調低音となった〈反近代〉の精神の系譜を鋭利に探る論考を収録.
近代文学の諸相――谷崎潤一郎を視点として――
日本の近代化と文学
反近代の系譜
漱石の反近代
詩的近代の成立――光太郎と茂吉――
白樺派の青春
芥川龍之介の死とその時代
私小説の動向
あとがき
解説(安藤 宏)
【著者紹介】
三好 行雄
三好行雄:元東京大学名誉教授
目次
近代文学の諸相―谷崎潤一郎を視点として
日本の近代化と文学
反近代の系譜
漱石の反近代
詩的近代の成立―光太郎と茂吉
白樺派の青春
芥川龍之介の死とその時代
私小説の動向
著者等紹介
三好行雄[ミヨシユキオ]
1926年福岡県に生まれる。1950年東京大学文学部国文学科卒業。1972年東京大学文学部教授。大妻女子大学文学部教授、昭和女子大学文学部教授、山梨県立文学館館長を歴任。1990年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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K.H.
8
元は1972年に書かれた文学論集。そうと知らずに読み始め、なんとなく古めかしいように感じて確認したところ、思っていたよりも昔の本だった。それでも内容は面白い。全ての論がタイトルに回収されているわけでもなく、また筆者自身が「羊頭狗肉」と言っているにもかかわらず、時間的距離(いつかは追いつける)の思い込みから空間的距離(ここは日本だ)の認識へという「反近代」の論理はかなり納得できた。ただ、反近代の土壌を士族のハビトゥス的なものに単純に還元していいのかという気はする。他の社会層の話が不十分で、ここは弱いかと。2022/10/30