出版社内容情報
月、山、海、桃、猿、狐など自然の風物が産み出す感懐、伝説、説話、詩文を通して、中国人のメンタリティを伝えるエッセイ集。
自然の風物が,いかなる感懐,伝説,説話をうみだしたか,詩文鑑賞とともに中国人のメンタリティを伝える好エッセイ集.著者の人間くさい眼差しが,月,山,海,桃,猿,狐,鬼などに注がれた出色の読物.
はしがき
天象
月/天の川/雲/露と霜/雷/虹
地文
山/空山/崑崙/海
草木
蓮/蓬/竹/桑/桃
鳥獣
烏/雀/猿/鹿/狐/羊/虎/亀/鬼
[解説]学問のエッセンス(齋藤希史)
【著者紹介】
前野 直彬
前野直彬:東京大学名誉教授
目次
天象(月;天の川 ほか)
地文(山;空山 ほか)
草木(蓮;蓬 ほか)
鳥獣(烏;雀 ほか)
著者等紹介
前野直彬[マエノナオアキ]
1920年東京に生れる。1947年東京大学文学部卒業。1968年東京大学文学部教授。1981年同、停年退官。東京大学名誉教授。1998年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
3
中国の古典に現れる自然は、物質としては今日我々が見るものと変わりなくとも、古代中国人の受け止め方は全く異なるものであった。霜は天から「おりる」ものだし、海など見たことのない中原の文人たちはそれを想像の中でどんどん冥くしていった。葉の茂る桑の畑では恋人たちが睦みあうと聖人君子は眉を顰め、原種の山羊に苦労させられた記憶からか羊は虎狼に並ぶ邪悪な獣とされた。天象地文、草木鳥獣に鬼を加えて二十四項目について、広範な漢籍から古代中国人の常識について語られれば、奇異な様でいて合理的な世界観を持っていたのだと感歎する。2018/07/30