出版社内容情報
平安文学に題材をとった母恋ものの白眉「少将滋幹の母」、日本橋界隈で生まれ育った少年時代の思い出「幼少時代」その他を収載。
目次
『京の夢大阪の夢』(京洛その折々)
『少将滋幹の母』(序文(『少将滋幹の母』)
少将滋幹の母)
『少将滋幹の母 乳野物語』(乳野物語)
『幼少時代』(はしがき(『幼少時代』)
幼少時代)
雑簒(安倍能成氏への書翰;作者の言葉(「少将滋幹の母」) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひさしぶり
18
『乳野物語』のみ。 期待しすぎた。比叡山の第18代座主良源、一般にはお札の元三大師。座主になっても母月子姫を訪ねて横川の麓の千野の安養院に通っていたーたったそれだけの話で終わってしまいました。お札の由来とか比叡山の中興には触れているのもの作家大先生にしてみたら仏教最盛期のイケイケ坊主としかうつらないようです。安養院の妙見菩薩は月子姫のことのようなのですが、実際に安養院で聞いた短い寺の由来のカンジとこの本のカンジは随分と異なりました。2023/03/30
ひさしぶり
9
『少将滋幹の母』今昔物語 他の翻案小説。文豪の力量を感じさせる。俗っぽい色恋あり仏法説話ありで、全文まるごと古典のようでツギハギ感がない。 国経が成就しようとした不浄観が強烈だったのと出家した母に声掛ける滋幹に悲哀を感じた。『幼少時代』おまけで流し読み。かの文豪も意気地なしのあかんタレだった。小学校の落第とは。おっと自分も泣き散らかして保育園退園お願いされてたわ。2019/07/07
訪問者
4
「細雪」の後、いよいよ第二次世界大戦後の谷崎作品であるが、「少将滋幹の母」も谷崎ならではの傑作。2019/08/19
MatsumotoShuji
1
例によって行き当たりばったりかと思いながら読んでいると、最後はすーっと落ち着くところに落ち着いてくれて安堵させられる「少将滋幹の母」。ただし途中結構エグいシーンがあって。仕事がらスカトロジー耐性があると思っていた私が、電車の中で思わずひえーと叫んじまったぜ。2016/11/26